『横浜バレエフェスティバル2024』出演
三森健太朗さんインタビュー
スウェーデン王立バレエ団プリンシパルの三森健太朗さんが、今年『横浜バレエフェスティバル』に初出演!
同じくスウェーデン王立バレエ団ファーストソリストの芝本梨花子さんとペアを組み、『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥを披露します。
公演を控えた現在の心境と意気込みを、三森さんにお聞きしました。
インタビュー:小野寺悦子
「横浜バレエフェスティバル2024」に今回初出演されます。出演が決まった心境をお聞かせください。
今回初めて「横浜バレエフェスティバル2024」に参加させていただけるということで、とても楽しみにしています。
以前拝見したことがありますが、いつも豪華メンバーで舞台のレベルも高く、そのレベルを維持しつつ自分の魅力を出せる舞台にできればいいなと思っています。
『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥを踊られます。この演目を選んだ理由とは?
今シーズン初めて『海賊』の全幕をスウェーデン王立バレエ団で踊りました。以前何度かガラなどでグラン・パ・ド・ドゥのみ踊ったことはありましたが、全幕を踊ったことで自信もつき、何より楽しく踊ることができる作品なので選ばせていただきました。
失敗談もあって、スウェーデンの国内ツアーのガラで踊った際に、出番はまだずっと先だと思って裏でアップをしていたら、聴き覚えのある曲がスピーカーから流れてきて……。慌ててウォームアップウェアを脱ぎ捨てて舞台に出て行ったことがあります(笑)。
『海賊』といったらジャンプや回転がたくさんあるパワフルな作品ですが、その力強さの中にあるしなやかさやパートナーとの繊細な掛け合いに注目していただきたいです。
『海賊』はガラの定番の作品でもあるので、お客様の目も肥えているかと思います。その期待を裏切らないクオリティの踊りをすることはプレッシャーではありますが、自分らしい『海賊』を踊ってお客様に楽しんでいただけたらうれしいです。
パートナーは同じくスウェーデン王立バレエ団の芝本梨花子さん。芝本さんとはこれまでどのような作品を踊られていますか?
スウェーデンではジェローム・ロビンズ振付の『イン・ザ・ナイト』やコンテンポラリー作品のデュエットなどを踊りました。日本人同士なので細かいニュアンスをお互い伝えやすく、いつもリハーサルは充実しています。芝本さんは真面目で細かい注意なども聞き逃さずすぐ修正してくれるので、とても踊りやすいパートナーの一人。普段はお茶目で少し抜けていて面白い方です(笑)。
スウェーデンに来る前に一度、日本で『コッペリア』を踊ったことがありました。華のあるとても素敵なダンサーだなと思っていたので、同じバレエ団に入団するとわかった時はうれしかったです!
スウェーデン王立バレエ団で日本人男性初のプリンシパルとして活躍されています。プリンシパルというカンパニーのトップにある立場として大切にしていることはありますか?
日頃心がけていることは、目の前のことに全力で取り組むことです。これは入団した頃からずっと変わらず心がけてきました。やはり適当に仕事をしている人には周りはついていかないし、上達するための手助けもしてくれないと思います。プリンシパルに昇格させていただいてからは、団員のロールモデルになれるよう普段の仕事への取り組み方をより一層気にするようになったと思います。毎回レベルアップした舞台をお届けできるよう、今の自分に満足することなく向上心を持ち、ハングリー精神を忘れないよう心がけています。
スウェーデン王立バレエ団での日々の活動をお聞かせください。
月曜日から金曜日の舞台がない日は10時から17時まで。土曜日はリハーサルが足りていない時のみ13時までリハーサルがある場合があります。公演の日はその日の夜の公演の確認や次のプログラムのリハーサルを13時か13時半までしてから休憩があります。主役を踊る日はクラスの後にパートナーと軽く合わせたり、指揮者とテンポの確認をして、あまり時間を取らずにさっと家に帰ることが多いです。そしてお昼寝をして夜の公演に備えます。
今シーズンは『マノン』(K.McMillan)、『海賊』(J.Martinez)、『くるみ割り人形』(P.Isberg)、『バスタブ』(E.Portner)、『トータリティインパーツ』(L.Timulak)、ヤングコレオグラファー、『白鳥の湖』(R.Nureyev)、『真夏の夜の夢』(A.Ekman)を上演しています。公演数は80回弱でした。
バレエ団は必要なものは基本的に全て揃っていて、不自由なことは特にありません。ヘアメイクやコスチューム、サウンド、テクニシャンなど他のデパートメントの方たちが本当に優しく、いつもたくさん助けていただいています。食事は体が欲しているものを食べるようにしていて、特に制限などはしていいません。
スウェーデンの冬は寒くて暗いので、友達の家でTVシリーズを一気見したり、ゲームをしたりしています。夏はずっと明るいので、外でバーベキューをしたり、湖や海へ泳ぎに行ったりもします。夏のスウェーデンの水辺は本当に気持ちが良くて大好きです。
カンパニーでは主にどのようなな役を踊ることが多いですか? 何か想い出深い舞台がありましたらお聞かせください。
バレエ団では王子系を踊ることが多いと思います。『白鳥の湖』でファーストソリストに昇格して、『シンデレラ』でプリンシパルに昇格したということもあり、王子役は自分の得意であり強みでもあるかと思います。
昨シーズンの最後に『マノン』を初めて踊り、今シーズンのスタートも『マノン』でした。回数を重ねるごとに役への理解や思い入れが深まり、毎回特別な舞台だったことを覚えています。初めてのドラマティックバレエで、演技の部分や難しいパ・ド・ドゥに苦戦しましたが、一人のダンサー・役者としてとても成長できたと思います。もっともっとドラマティックな作品をいろいろ踊りたいと思うきっかけになった作品です。
日本に帰ってくるといつもすること、今回楽しみにしていることは?
寿司、鰻、お好み焼き、ハンバーグ、そば、ラーメン、モンブランははずせません。今回は初めて石垣島に行く予定で、今からワクワクしています。
最後に、公演をご覧になるお客様にメッセージをお願いいたします。
とても見どころ満載な公演プログラムになっていますので、楽しんでもらえること間違いなしだと思います。
「横浜バレエフェスティバル2024」初参戦! 最高の舞台をお届けできるよう全力を尽くします!!
【公演情報】
2024年8月3日(土)前夜祭
2024年8月4日(日)横浜バレエフェスティバル2024
~バレエの“力”が”かながわ”へ集結~
会場:神奈川県民ホール
チケット好評発売中
芸術監督:遠藤康行
プロデューサー:吉田智大