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SHIVER2020【横浜】公演レビュー

文:森 菜穂美

 

横浜バレエフェスティバルの関連企画として昨年上演され、大好評を博した企画が「SHIVER」。至近距離でワールド・クラスのダンサーのパフォーマンスを堪能できるスリリングな体験だ。シンプルなスタジオで稽古着のダンサーたちが、目の前で息遣いを感じさせながら磨き抜かれたテクニックや表現を見せてくれる体験は、一度味わったら忘れがたいものとなる。

 

 

今年は、新型コロナウィルス禍の影響で横浜バレエフェスティバルは残念ながら中止となったが、観客数を最小限に絞り、安全対策を万全にしたうえで「SHIVER2020」は実現した。前夜祭と8月1日の昼公演を観ることができた。

 

 

本公演の進行は、横浜バレエフェスティバルの名物男と呼ぶべきコンテンポラリーダンサーの柳本雅寛。ユーモアを交えたダンサーとのトークは場を和ませて公演のエンターテインメント性を一層高めてくれた。まずは出演者たちがバーレッスンとセンターレッスンを30分ほど披露。一流のプロフェッショナルのクラスをこれほどの至近距離で観る機会はめったになく、特にバレエを学ぶ若い人には大きな学びとなったことだろう。そしてトップダンサーのクラスレッスンは、観ているだけで美しくそして面白い。

 

横浜バレエフェスティバルに、第一回の2015年から出演している二山治雄が今回の白眉だ。現在、パリ・オペラ座バレエの契約団員として活動する二山。ローザンヌ国際バレエコンクールとユース・アメリカ・グランプリで1位を受賞した時の『ラ・バヤデール』ソロルのヴァリエーションを披露。オペラ座でますます磨かれ、持ち前の驚異的な柔軟性に強靭さを加え、見たことないような高さの美しくしなやかな跳躍と美しいつま先を見せてくれた。思わず客席からはため息が漏れる。踊りに色香も加わり、ニジンスキーの再来か、と思わせるほどだった。名教師ジル・イゾアール仕込みのクリアなパットゥリーや軸の強さ、上半身もドラマティックだった。

 

 

二山と同じ白鳥バレエ学園出身でパリ・オペラ座契約団員の東真帆と組んでの『眠れる森の美女』はヌレエフ振付版。王子のコーダでは連続アン・ドゥダンのピルエットという難しいテクニックが入っているが、見事に引き上げられコントロールされていた。柔らかい股関節がきれいに開いた、風を切るマネージュが目の前で繰り広げられる興奮。オーロラ役の東も、オペラ座仕込みのエレガンスを見せて、くっきりとした足捌き、初々しい中に気品あふれてドラマティックなポール・ド・ブラが美しく優美。上半身の動き一つで物語を語っていた。前夜祭『ディアナとアクティオン』の東は軽やかでどこまでも伸びていくようなアラベスクも印象的、『パキータ』のエトワールのヴァリエーションは優美そのもの。

 

 

ファッション・アイコンとしても高い人気を誇る、ヒューストン・バレエのプリンシパル飯島望未。もちろんスターとしての華やかさは随一だが、クラスレッスンで見せたダイナミックな跳躍、アカデミックで研ぎ澄まされたテクニックはトップカンパニーのプリンシパルならではの傑出したもの。非常に難しい技巧が盛り込まれた『グラン・パ・クラシック』を、女王然とした品格でビシッと決めた。一つ一つのパが美しく、観客を味方につける独特のチャーミングさも魅力的だ。

 

 

二山、東同様パリ・オペラ座バレエの契約団員として活動した後、現在はオーストラリアのクイーンズランド・バレエで活躍する中島映理子は、2015年のローザンヌ国際バレエコンクールでも踊った『ラ・バヤデール』の影の王国の第二ヴァリエーションを踊った。パリのコンセルヴァトワールでイザベル・シアラヴォラに学んだ中島も、フランスのエレガンスをしっかりと身につけた若手ダンサー。よく出た甲と美しい脚が印象的で、上半身の優雅さも目を引いた。

 

もう一つのクライマックスは、ウェイン・マクレガー・カンパニーで活躍し、現在はフリーランスで活動する高瀬譜希子のパフォーマンス。ダイナーズのCMで踊り話題となった作品を基にした『1001(ワンゼロゼロワン)』。映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」にインスピレーションを得た作品で、誕生、生命の連鎖などをテーマにしたもの。人間の身体はこうも動くのか、こんな表現が可能なのかというものを、決して過剰でなくさらっと、しかし繊細で深く見せてくれる。内面から出てくるものと動きが呼応して独特の世界観を作り上げ、強くしなやかで雄弁で引き込まれる。特に終盤のうねりは鮮烈で言葉を失うほど魅入った。

 

 

柳本雅寛が高瀬譜希子に動きを見せながらこの場で作品を振り付ける試み『Peeping work』は、クリエーションの過程を楽しく見せてくれる好企画。柳本の独特の語彙がユニークで、”魔女の壺”とかピグモンとか、発想の楽しさにわくわくさせられた。今回の作品はネオクラシック的要素のある振付だけが、それを独特に噛み砕く高瀬さんの力もあり、クリエーターのガチンコ勝負として恐ろしくスタイリッシュでスリリングな結果となった。

 

前夜祭だけのお楽しみは、横浜バレエフェスティバルの芸術監督、遠藤康行が育てている若手精鋭ジュンヌバレエYOKOHAMAによるパフォーマンス。遠藤の振付による新作『悪魔のトリル』。クラシックとコンテンポラリーの絶妙なミックスで、14人の若い女性ダンサーたちのポテンシャルを引き出すような魅力的なアンサンブル作品。stinaのカラフルな衣装も素敵で、ダンサーたちの若いエネルギーが伝わってきた。プロポーションに恵まれた美しいダンサーたち。横浜バレエフェスティバルから巣立った永久メイ、中島耀に続き、ここからスターが生まれることだろう。

 

 

換気はしっかりしているけど小さめの空間で、生のバレエのスリルと美しさに文字通り心震えるSHIVER公演。少人数の公演でありながら満足度は高かった。引き続き横浜、長野県の戸隠、京都と開催され、戸隠では佐藤健作の和太鼓との共演、京都では新国立劇場バレエ団のプリマ米沢唯が登場と、魅力的な趣向でさらなる興奮が期待される。

 

 


 

【SHIVER2020 夏公演予定】
※各公演の上演時間は75分前後を予定しております。

 

8月8日(土)・9日(日)SHIVER戸隠(長野県)
会場:佐藤健作戸隠稽古場(100席)
開演:8日(土)15:30 / 9日(日)13:30開演
出演者:小池ミモザ・二山治雄・東真帆・高瀬譜希子・佐藤健作(和太鼓)
https://ballenta.net/shivertogakushi
8月8日(土)・8月9日(日)S席完売~
※A席は、両日とも引き続き販売いたしております。(2020年7月17日現在)

 

8月15日(土)SHIVER横浜
会場:The Hall Yokohama(93席)
開演:昼公演 14:00  / 夜公演 19:00
出演者:二山治雄・東真帆・柳本雅寛・高瀬譜希子・ 中島映理子・小池ミモザ
https://ballenta.net/shiveryokohama

※キャストの変更がございます。↓こちらからご確認ください。
https://ballenta.net/shivercastnews200702

 

8月17日(月)・18日(火)SHIVER京都
会場:ロームシアター・ノースホール(84席)
開演:17日(月)19:30 / 18日(火)19:00
出演者:米沢唯・木下嘉人・二山治雄・東真帆・高瀬譜希子・佐藤健作(和太鼓)
https://ballenta.net/shiverkyoto

 

7月31日(金)SHIVER横浜【終了】
(旧名称:横浜バレエフェスティバル2020前夜祭)
会場:The Hall Yokohama(90席)
開演:19:30
出演者:二山治雄・東真帆・高瀬譜希子・遠藤康行(進行・指導)・ジュンヌバレエYOKOHAMA
~完売~

 

8月1日(土)SHIVER横浜【終了】
会場:The Hall Yokohama(93席)
開演:昼公演 14:00  / 夜公演 19:00
出演者:二山治雄・東真帆・柳本雅寛・高瀬譜希子・飯島望未・中島映理子

8月2日(日)SHIVER横浜【終了】
会場:The Hall Yokohama(93席)
開演:17:30
出演者:二山治雄・東真帆・柳本雅寛・高瀬譜希子・飯島望未


 

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https://ballenta.net/ticket