横浜バレエフェスティバル 2019

【PICKUPについて】

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PICK UP!

一柳 慧×白井 晃 神奈川芸術文化財団芸術監督プロジェクト
『Memory of Zero』プレビュー
~「ダンス」の可能性を問い、未知の世界を切り拓く新たなコラボレーション~

文:高橋森彦(舞踊評論家)
 

テーマは「身体と記憶」。2019年3月9日(土)、10日(日)、神奈川芸術文化財団の2人の芸術監督、一柳慧(作曲家)と白井晃(演出家)が手を組む新たな芸術表現を目指すプロジェクトにおいて、『Memory of Zero』が披露される。
 

1950年代から前衛音楽の第一線を走り巨匠マース・カニングハムら舞踊家との協同作業も行ってきた一柳。長年にわたってダンサー、振付家と共に舞台を創る機会を重ねる白井。両者の視点から“ダンスとは何か”“ダンスはどこへ向かうのか”を問い、新たな創造に挑む。
 

全体は2部構成。第1部の「身体の記憶」では“ダンスの変遷をたどる旅”を描き出す。第2部「最後の物たちの国で」は米の作家ポール・オースターの同題のディストピア小説をモチーフにした作品で、主人公のアンナをパワフルな踊りを持ち味とする小池ミモザ(モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパル)が踊る。
 

モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパルの小池ミモザ

 

今回の大きな特色は、会場となる神奈川県民ホール大ホールの舞台上に特設の客席を設営し“ステージ・オン・ステージ”として実施すること。通常のプロセニアム形式のように舞台と客席の間に枠がないので、演者と客席が一体となって進行するような刺激的な舞台となりそうだ。
 

音楽は「交響曲第8番」をはじめとする一柳の楽曲を用いる。演奏は一柳の信頼厚い板倉康明指揮・東京シンフォニエッタで、一柳もピアノ演奏で出演。構成・演出は白井で、振付は欧州中心に海外での経験豊富な遠藤康行(元フランス国立マルセイユバレエ団ソリスト)に委ねた。

2月上旬、遠藤康行がモナコに赴き小池ミモザとリハーサルを行った

 

メインとなるダンサーは遠藤、小池のほか、ジャズダンスで知られ女優でもある鳥居かほり、東京バレエ団のプリンシパルとして世界に名をとどろかせた高岸直樹、新体操出身でしなやかな動きが身上の引間文佳という個性に富んだ実力者が揃う。
 

オーディションで選ばれた17名にも注目したい。海外のカンパニーで踊った経験を持つ俊英や現在国内唯一の劇場専属舞踊団であるNoism出身者を含む多彩な顔ぶれが集った。遠藤は神奈川県民ホール共同主催の「横浜バレエフェスティバル」の芸術監督でもあり、ダンサーの資質を見極めその才能を開花させることに定評あるだけに、彼らの飛躍も楽しみだ。
 

2018年11月に神奈川県民ホールで行われたオーディションの様子

アンサンブルダンサーの稽古写真

音楽、演劇界の重鎮とダンス界の精鋭たちによる領域を横断して問いかけるダンスの来し方・行く末とは? 未知の世界が広がる予感に満ちているだけに、ぜひ目撃・体感したい。
 


★ ☆ ★ 公 演 情 報 ★ ☆ ★

一柳 慧×白井 晃 神奈川芸術文化財団芸術監督プロジェクト
Memory of Zero

公演日時: 2019年03月09日(土)18:00/2019年03月10日(日)15:00

https://www.kanagawa-kenminhall.com/moz/

 

【アフタートーク出演者】
3.9(土) 一柳慧、白井晃、板倉康明
3.10(日) 一柳慧、白井晃、遠藤康行、小池ミモザ

【曲目】
一柳慧:交響曲第8番 リヴェレーション2011 /リカレンス/レゾナント・スペース/タイム・シークエンス ほか

出演
■ピアノ/一柳 慧
■構成・演出/白井 晃
■振付/遠藤康行
■指揮/板倉康明
■演奏/東京シンフォニエッタ

■ダンス/
小池ミモザ 鳥居かほり 高岸直樹 引間文佳 遠藤康行

梶田留以 木ノ内乃々 五島茉佑子 児玉アリス 佐藤明花
鈴木彩海 鈴木春香 平 雛子 まりあ 米持愛梨
上田尚弘 大橋武司 掛場一慶 郡司瑞輝 ながやこうた
水島晃太郎 吉﨑裕哉

※出演者はやむを得ず変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。

【プロフィール】
一柳 慧 Toshi Ichiyanagi
作曲家・ピアニスト。ジュリアード音楽院留学中にジョン・ケージと知り合い不確定性の音楽を展開。これまでに文化功労者等受章。日本芸術院賞、及び恩賜賞等受賞多数。2018年秋、文化勲章受章。神奈川芸術文化財団芸術総監督。

白井 晃 Akira Shirai
演出家・俳優。2002 年まで「遊◎機械/全自動シアター」主宰。読売演劇大賞優秀演出家賞、湯浅芳子賞(脚本部門)、佐川吉男音楽賞受賞。KAAT 神奈川芸術劇場芸術監督。

遠藤康行 Yasuyuki Endo
元フランス国立マルセイユバレエ団ソリスト・振付家。現在フランス、日本を中心に活躍。1998 年村松賞受賞。エンドウ・バレエ主宰。JAPON dance projectメインメンバー。横浜バレエフェスティバル芸術監督。

板倉康明 Yasuaki Itakura
指揮者・クラリネット奏者。東京藝術大学、パリ国立高等音楽院卒業。これまでに国立ボルドーアキテーヌ交響楽団、カーン交響楽団、東京都交響楽団、東京フィルハーモニー等を指揮。東京シンフォニエッタ音楽監督。国立音楽大学客員教授。

小池ミモザ Mimoza Koike
モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパル。Le Logoscope(芸術研究機関)ヴァイスプレジデント。JAPON dance projectメインメンバー。2015 年日本人ダンサー初のモナコ公国シュバリエ文化功労勲章受章。

鳥居かほり Kaori Torii
4歳よりクラシックバレエを始め、22歳より名倉加代子氏に師事。ジャズダンスをはじめ国内外さまざまな作品にチャレンジしている。ドラマ、映画、舞台と活躍。宝塚歌劇団振付。OSK日本歌劇団振付。昭和音楽大学講師。

高岸直樹 Naoki Takagishi
1986年東京バレエ団入団。プリンシパルとして第一線で活躍した後、2015年に退団、特別団員となる。現在は、バレエ、ジャズなどジャンルにとらわれず、ダンサーとして活躍する傍ら、舞台の振付も行っている。高岸直樹ダンスアトリエ主宰。

引間文佳 Ayaka Hikima
幼少より新体操を始め、日本代表としてユニバーシアード準優勝。競技引退後、森山開次『サーカス』への出演を皮切りに数々の作品に出演を始める。ダンスからミュージカル、演劇公演まで幅広く出演する中、振付家としても活動。