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パリオペラ座バレエ学校のスペクタクルレポート

【オペラ座バレエ学校のスペクタクルがパリのガルニエ宮で開催され、2018年4月18日(19:30開演)に伺いました】

3部構成で、1作品目がSUITE DE DANCESという40分の長めの作品。2作品目はキリアン振り付けのUN BALLOという12分の短めの作品。3作品目はノイマイヤー振り付けの35分の作品。

2作品目と3作品の、世界的な振付家の作品を「10代の学生達が」「あのガルニエの舞台で」「新たにレパートリーになる作品」を踊れる事。その事実がとても印象的。

今回、なにより特徴的だったのが、1作品目。
まだ10歳位のダンサーから10代後半までのダンサーが一度に舞台に上がるSUITE DE DANCESというショパンの音楽のこの作品の見せ方に、オペラ座バレエ学校の考えがにじんでいるようでした。

この作品は、レ・シルフィードのようなポーズで始まり、女子は白いロマンティックチュチュで肩にチュールがふんわり載っていて、男子は白シャツ白タイツに黒のベスト。ザ・クラシックといわんばかりの衣装。

アンサンブル中心の前半部分では、全体的に難しいテクニックを見せつける事はなく、レッスンの延長に舞台があることを意識させるような、ある意味では地味な作品。

しかし、日々の基礎練習の賜物である、アンデオールに使う脚や腕のポジション、頭や背中の動かし方、ジャンプ後のプリエや軸の取り方の確実性など、高学年の生徒になればなるほど、オペラ座バレエ学校のレッスン内容を垣間見れるような舞台になっていました。
つまり、あの10歳程度の生徒が大きくなるとこういうふうに成長していけるという事を見せてくれました。

ただし、一人一人の身体能力はさすがでしたが、音楽や表現に対しての統一感の優先度が低いのか、アンサンブル部分が少し不揃いだっところは残念。

パ・ド・ドゥ中心の後半では、経験の少なさから来る、ピルエットのサポートのずれやリフトのタイミングのずれ。また、大人ではない男子の筋力の弱さも感じましたが、このままレッスンを積み上げていけばその問題もきちんと解決されていく事を予感させてくれました。

まだアマチュアの、プロ予備軍ダンサーの舞台に、サポーターである観客が、”有料でチケットを買って、ガルニエ宮を満席にして応援していた”という事実もあって、フランスのバレエ文化の奥深さを感じずにはいられない一夜になりました。

記事・写真:バレエナビ編集部