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PICK UP!

ボリショイ・バレエ プリンシパル、オルガ・スミルノワ&セミョーン・チュージン インタビュー!
〜『ルグリ・ガラ』出演と、ボリショイ・バレエを語る〜

ボリショイ・バレエ プリンシパルのオルガ・スミルノワとセミョーン・チュージンが、この夏開催されるマニュエル・ルグリの『ルグリ・ガラ 〜運命のバレエダンサー〜』に出演。開幕を前に来日中のおふたりに、ルグリとの出会いと公演への想い、そしてボリショイ・バレエについてお聞きしました。

文:小野寺悦子

——マニュエル・ルグリたっての指名により、この夏日本で開催される『ルグリ・ガラ』に出演されます。おふたりのルグリとの出会いを教えてください。

チュージン:ルグリとの初めての出会いはガラ公演でした。もともとバレエ学校で学んでいたころからビデオで彼の踊りを観て感銘を受けていたので、お会いできてとてもうれしかったです。その後ルグリからウィーン国立バレエ団の『ヌレエフ・ガラ』に出てくれないかと声をかけていただき、続いてウィーンで上演される『ドン・キホーテ』の全幕を踊らないかと誘ってもらいました。『ドン・キホーテ』のあと、この5月にスミルノワとウィーンでヌレエフ版『白鳥の湖』を踊っています。

スミルノワ:ルグリとの出会いはチュージンが与えてくれました。彼はすでに何度かルグリと仕事をしていましたが、『白鳥の湖』を踊ることになったとき“ぜひスミルノワと一緒に踊りたい”と言ってくれたんです。『白鳥の湖』のリハーサルのためにウィーンへ行き、そこではじめてルグリとお会いしました。彼はソリストからコール・ド・バレエに至るまで全てのリハーサルに参加して、自身の持つ全ての時間をカンパニーに注いでる。ルグリの仕事に対する熱心さ、踊りに対する情熱にとても感動させられました。
ヌレエフ版『白鳥の湖』は王子役にとって大きく異なる演出になっています。ヌレエフが自身のためにつくった作品であり、マイムを排除してその分ダンスを増やしているので、王子役のダンサーは覚えることがとても多いんです。バレリーナにとっては最後のアダージョが一番違う部分です。ヌレエフ版は白鳥の姿のままで人間に戻ることはないけれど、最後に王子を許して愛が勝つ。それがとても印象的でしたし、非常に納得のいく振付けで、楽しんで踊ることができました。

チュージン:ヌレエフ版の『白鳥の湖』は僕も挑戦したいと常々思っていましたが、実際踊ってみると本当に難しくて、当初“自分にはできないのでは?”とちょっぴり弱気になりました。ルグリとリハーサルを重ねていく過程で、ようやく少しずつ面白さが実感できるようになっていった感じです。彼と一緒にスタジオで過ごした時間は僕にとってかけがえのないもので、ひたすら練習に没頭しました。天の上のような何か別の世界、自分の手が届かないものに触れるような感覚がありました。僕らはウィーンで二公演踊りましたが、二公演とも成功したと思っています。

スミルノワ:チュージンはルグリの教えてくれるニュアンスを自分のものにしようと一生懸命頑張っていて、彼が疲れを忘れて毎日練習に没頭している姿を私もずっと横で見てました。ルグリはとてもポジティブで、周りにいる人にエネルギーを与えてくれるので、こちらがどれだけ疲れていても自然と忘れてしまうんです。不思議と力が沸いてきて、もっともっとレッスンしたいという気持ちになっていく。それに彼のアドバイスはとても正確で的を得ていて、彼の言う通りに進んでいればきっと正しい方向に向かっていけるという確信がありました。

——ボリショイ・バレエのプリンシパルとして活躍するおふたり。2011年の入団以来、古典はもちろん海外振付家の作品も多く踊ってきました。

スミルノワ:入団してからこの6年間、マッツ・エック、ジャン=クリストフ・マイヨーをはじめ、国内外の多くの振付家と一緒に仕事をしてきました。こうした機会に恵まれたのはすごくラッキーだったと思います。

チュージン:たぶんそれは、前芸術監督のセルゲイ・フィーリンの存在が大きいと思います。

スミルノワ:そうですね。フィーリンのおかげでボリショイ・バレエがオープンになりましたし、海外からどんどん新しいものを吸収するようになったと思います。それは私たちダンサーを着実に、そしてスピーディーに成長させてくれる大切な経験であり、フィーリンにはとても感謝しています。
実は私がボリショイ・バレエに入団したのもフィーリンがきっかけでした。ワガノワ・バレエ学校の卒業試験のとき、当時ボリショイ・バレエの芸術監督に就任したばかりのフィーリンに“ソリストとしてうちに来ないか?”と声をかけられたんです。まずはソリストとしてスタートし、次の年はこうした役でこうしたレパートリーを踊ってと、明確にプランを示してくれました。“最初は小さな役から慣れていき、最終的に大きな作品で主役を踊ってもらう。そうやって君のキャリアを重ねていくんだ”という説明を受け、私自身その将来像に納得できたので、ボリショイ・バレエに入ろうと決めました。私が入団するときはちょうど劇場が大改修工事を終えて新しくオープンするタイミングで、この素晴らしい環境で舞台に立つことができるというのも大きな魅力でした。

——おふたりが尊敬する人物を教えてください。

チュージン:ルグリはもちろんそうですし、ルドルフ・ヌレエフのことは今でも好きです。私たちロシアの素晴らしい時代を築いたダンサーたちのなかにも尊敬する人は沢山います。今習っているアレクサンドル・ヴェトロフ先生はそのひとりで、彼のビデオは繰り返し観ています。

スミルノワ:バレリーナのお手本といえば、ディアナ・ヴィシニョーワです。ワガノワ・バレエ学校時代に同じ先生に習っていたのでどこか身近な存在に感じるし、彼女の考えには共感できるような気がします。いろいろな振付家と仕事をしていく上で、自分がどう踊り、自分をどうプロデュースするか。自分の表現を探していくという意味でも、本当に素晴らしいお手本だと思っています。
私がラッキーだったのは、ワガノワ・バレエ学校の最後の二年間をリュドミラ・コワリョーワ先生に教わることができたことです。ただ最初の一年はなかなか先生の教え通りにできず、もがき苦しんだ記憶があります。というのも、先生は学校内で通用する踊りというより、その後カンパニーに入ったときに通用するよう教えてくださるんです。コワリョーワ先生のクラスから多くの生徒が劇場に就職しているのはそのためです。先生には、手の感じ方、足の感じ方、簡単なステップひとつひとつに意味があると教わりました。そういうことは学校ではなかなか教わる機会はなく、通常は劇場に行ってから学ぶものです。それを学校の最終段階で教わることができたのは自分にとって大きな力になりました。ボリショイ・バレエに入って最初に役をもらったときも、サンクトペテルブルグに行ってコワリョーワ先生にレッスンをしていただきました。今はマリーナ・コンドラーチエワ先生に習っています。彼女は『ジゼル』で名を馳せた素晴らしいバレリーナで、最近私も『ジゼル』を先生に習って踊りました。世界的に有名な『ジゼル』の踊り手から直接教わることができ、とても光栄に思っています。

——今後のキャリアについて考えていることはありますか? ダンサー以外の道、例えば振付家や芸術監督を目指すようなお気持ちはあるのでしょうか?

チュージン:僕は将来のことはあまり考えてないですね。若いうちはとにかく踊り続けたいと思っています。実は今大学でバレエ教師の勉強をしているのですが、なかなか過程を終えることができずに現在も継続中です。でも教師や芸術監督になるかといわれても、今はまだそういう自分の姿は想像できないですね。振付家になることもないかな、と考えています。

スミルノワ:チュージンはすでに素晴らしいパフォーマーだから、そのままいいと思うわ!


photo by E.Fetisova

——『ルグリ・ガラ』ではAプログラムで『じゃじゃ馬馴らし』と『グラン・パ・クラシック』を、Bプログラムでは『ファラオの娘』と『ジュエルズ』より“ダイヤモンド”を披露します。なかでも特に思い入れのある作品はありますか?

スミルノワ: 4つの作品全て振付家も音楽も違っていて、全くカラーの異なる作品になっています。なかでも披露できてうれしいのが、『じゃじゃ馬馴らし』のビアンカとルーセンシオのアダージョ。マイヨーはいつもダンサーのキャラクターを踏まえて作品をつくっていますが、まさにこれはマイヨーが私たちに振付けてくれたアダージョです。ボリショイ・バレエでは私たちのほかにもう1組のペアが踊っているけれど、もともと私たちのために振付けられた作品なので、私たち自身が披露できるのはうれしいし、気持ちよく踊ることができます。


photo by E.Fetisova

『グラン・パ・クラシック』も大好きな作品です。ラコットの『ファラオの娘』は現在ボリショイ・バレエでも全幕で上演されることはまずなくて、あるとしてもガラ公演のみ。私たちも全幕はまだ数回しか出演していないので、いつかまた踊れたらと思っています。
『ジュエルズ』のダイヤモンドのアダージョは、バランシンのお気に入りのひとりだったメリル・アシュレイから習いました。とても懐かしいですね。今度アメリカ公演があるので、そこでまた彼女に会えたらうれしいです。『ジュエルズ』は本当にうつくしい作品で、ストーリーがないので純粋に動きを楽しんでいただけると思います。またステージの上に男女ペアがいるということは何かしら人間関係が起きるということであり、そこはお客さまに自由に想像してもらえるのではないでしょうか。

チュージン:『ジュエルズ』はチャイコフスキーの音楽も素晴らしいですよね。音楽も振付も、全てが素晴らしい作品だと思います。


photo by Alisa Aslanova

——おふたりのパートナーシップも大きな見どころです。

スミルノワ:クラシック作品を踊っていく上で、特定のパートナーがいるのはダンサーにとってとてもプラスになると思います。パートナーと一緒に作品を踊り込んでいく過程で、テクニック的に難しいところは自然とクリアしていけるようになる。パートナーシップにあまり神経を使わなくてよくなりますから、どうやって技をこなそうという部分ではなく、その瞬間その瞬間に自分が何をどう伝えるかという部分に集中できますので、そういう意味ではいいパートナーに恵まれるのは非常に需要です。だからこそチュージンという一流の素晴らしいダンサーとペアを組めたことをとてもうれしく思っています。

チュージン:僕も全く同じ意見です(笑)。公演をぜひ楽しみにしていてください。

 


 

★ ☆ ★ 公 演 情 報 ★ ☆ ★

『ルグリ・ガラ〜運命のバレエダンサー〜』
出演:マニュエル・ルグリ/イザベル・ゲラン(元パリ・オペラ座バレエ団エトワール)、マリアネラ・ヌニェス/ワディム・ムンタギロフ(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)、オルガ・スミルノワ/セミョーン・チュージン(ボリショイ・バレエ プリンシパル)、エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ、ウィーン国立バレエ団ほかより全16名
芸術監督:マニュエル・ルグリ

東京公演
<Aプログラム>2017年8月22日(火)18:30/8月25日(金)18:30
<Bプログラム>2017年8月23日(水)18:30/8月24日(木)18:30
会場:東京文化会館  大ホール
※プログラム演目詳細:http://www.legris-gala.jp/program.html
料金:S席18,000円、A席16,000円、B席14,000円、C席9,000円、D席7,000円、E席5,000円。
S席セット券35,000円(A・Bプログラム同時購入時・限定数・公演プログラム付き。キョードー東京電話受付のみ)

チケット:
キョードー東京 0570-550-799
(オペレーター/平日11:00~18:00、土日祝10:00~18:00)
http://kyodotokyo.com/legris

フジテレビダイレクト http://fujitvdirect.jp/

イープラス http://eplus.jp/legris2017/

チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:457-053)
http://w.pia.jp/t/legris/

ローソンチケット
0570-000-407(オペレーター)
0570-084-003(Lコード:33379)
http://l-tike.com/legris/

CNプレイガイド 0570-08-9999(オペレーター)
http://www.cnplayguide.com/legris/

楽天チケット http://ticket.rakuten.co.jp

東京文化会館チケットサービス 03-5865-0650(平日10:00~19:00 休館日除く)http://www.t-bunka.jp/ticket/

問い合わせ:キョードー東京  0570-550-799(平日11:00~18:00、土日祝10:00~18:00)
http://www.legris-gala.jp/

大阪公演
8月19日(土) フェスティバルホール
06-6231-2221 (10:00~18:00)

名古屋公演
8月20日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
052-308-8282 (平日10:00~18:00)