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PICK UP!

飯島望未インタビュー
~横浜バレエフェスティバル初出演の意気込みと、ヒューストン・バレエ団復帰を語る〜

7月よりヒューストン・バレエ団に移籍予定の飯島望未さんが、今年『横浜バレエフェスティバル』に初登場!
Aプログラム『アラジン』とBプログラム『3 in Passacaglia』の二作品に出演し、その華麗な舞いを披露します。新シーズンを前に帰国中の飯島さんに、舞台への意気込みと、ご自身の活動についてお聞きしました。

取材・文:小野寺悦子

——『横浜バレエフェスティバル』に初登場する飯島望未さん。Aプログラムでデヴィット・ビントレー振付作『アラジン』を、Bプログラムで遠藤康行振付作『3 in Passacaglia』を踊ります。
『アラジン』は4年くらい前、ヒューストン・バレエ団にいたときに一度踊ったことがありました。ヒューストン・バレエ団のディレクターとビントレーが親しくて、今シーズンもビントレーの作品がプログラムに入っているようです。私はプリンセス役で、パートナーは吉山シャール・ルイ アンドレさんという日本人とフランス人のハーフのダンサー。リハーサルに入る前に新国立劇場バレエ団と英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のビデオを観ましたが、実際に踊ってみると音の取り方やステップが難しくてすごく苦労しましたね。ただお客さんの反響はとても良くて、特に子供たちが楽しんでくれたみたいです。八幡顕光さんとペアを組むのは今回が初めてです。新国立劇場バレエ団のビデオで八幡さんのアラジンを拝見しましたが、キレのある踊りがすごく印象的でした。
『3 in Passacaglia』はコンテンポラリーというよりはネオクラシックで、動きがたくさん詰め込まれた、特に女性にとってハードな作品になっています。フィジカル面を酷使される感じで、私的には好きなタイプかもしれません。こちらは八幡さんと振付の遠藤康行さんの3人で踊ります。

——2015年にヒューストン・バレエ団を退団し、去年8月にチューリッヒ・バレエへ移籍されています。
ヒューストン・バレエ団に8年間在籍していましたが、クラシックやネオクラシック、コンテンポラリーとひと通り踊ってきて、自分の中でチャレンジするものがなくなっているような感覚がありました。コンテンポラリーに対する苦手意識もちょっとあったので、コンテンポラリー作品が充実しているヨーロッパのカンパニーで踊りたいと考えたのが退団のきっかけです。オーディションを受けるにしても、アメリカで踊りながらとなると行けるところも限られてくる。2015年にヒューストン・バレエ団を退団し、しばらく日本を拠点にオーディションを受けに行きました。なかでもチューリッヒ・バレエはユニークな作品が多いのが魅力で、オーディションを経て2016年8月に入団しています。

——チューリッヒの環境はいかがでしたか?
街がきれいで、人も親切だし、環境はすごく良かったですね。アメリカからヨーロッパへ移って生活面は大きく変わったけれど、もともと順応性が高い方なのでそれほど苦労することはなかったです。チューリッヒ・バレエのダンサーはみなさん真面目な人が多くて、毎朝のクラスレッスンも真剣に取り組んでいる。私の勝手なイメージとして、ヨーロッパのダンサーはもっと自由な雰囲気だと思っていたのでちょっとほっとしました(笑)。チューリッヒ・バレエでは、『アンナ・カレーニナ』とワールドプレミアで上演したオペラとのコラボレーション作品の二作に出演しました。どちらもディレクターの作品です。その後ラトマンスキーの『白鳥の湖』に出演する予定で稽古もスタートしていましたが、こちらはキャンセルして今年の3月に退団しました。

——退団を決めた理由は何だったのでしょう。
コンテンポラリーやモダンを踊りたいと思ってチューリッヒ・バレエに移籍しましたが、クラシック作品でしか役がもらえなかった。求めているものと求められているものが違ったのが大きな理由です。チューリッヒ・バレエのラインナップは8割がコンテンポラリーで、今シーズンのクラシック作品はラトマンスキーの『白鳥の湖』だけ。それでもコンテンポラリー作品では一切役がつかず、カバーにも入らない。ワールドプレミアで踊った作品もクラシックに近いポワントワークのパ・ド・ドゥだったので、やはり自分としては違うなという気持ちがありました。何がいけないのか知りたくてディレクターに尋ねてみても、なかなかヒントをもらえなくてすごく悩みましたね。役がつかないのはディレクターが私を必要としていないということだと思い、このままチューリッヒ・バレエにいても意味がないだろうと考えて退団を決意しました。

——思い切りがいいですね!
悩んでいる最中は行動はしないけど、いざ決断すればもう迷いがない。ヒューストン・バレエ団を辞めるときも2年くらい前からどうしようか悩んでいましたが、迷いがある間は行動は起こしませんでした。ただ決断したらもう全く迷わなかったですね。あまり人には相談しないタイプで、今回も自分の中で決めました。

——今後の予定は決まっていますか?
ヒューストン・バレエ団に戻ります。チューリッヒ・バレエを辞めた後いくつかオーディションを受けましたが、いろいろなカンパニーをみている内に、ヒューストン・バレエ団のレベルの高さに改めて気づかされて。ソリストはもちろん、コール・ド・バレエのダンサーも動ける子たちがそろってる。これは一度出てわかった良さですよね。私自身ヒューストン・バレエ団にいたときも不満はなかったし、やはり自分に一番合ったカンパニーだったと思う。ヒューストン・バレエ団を辞めるときディレクターが“いつでも帰ってきて”と声をかけてくださっていて、横浜バレエフェスティバルの公演後、新シーズンが始まる7月から向こうで踊る予定です。

——ヒューストン・バレエ団のレパートリーにはどのような作品がありますか? 現地での生活を教えてください。
クラシックはもちろん、フォーサイス、キリアン、エクマン、バランシンと、まんべんなく網羅されています。ステージ数はかなり多くて、大きなプログラムのほかにツアーやプログラム以外の公演もあるので、常に踊っているような状態です。日本人ダンサーは最近すごく増えていて、プリンシパルの加治屋百合子さんをはじめ、来シーズンは私も含めて8人くらいになる予定。ディレクターが日本人好きということもあって、私が入った当初と比べてもかなり多くなりました。カンパニーは火曜から土曜まで週に5日で、日曜と月曜がお休みです。お休みの日は友達とショッピングに行ったり、お茶したり……。日本にいるときと変わらないですね。ヒューストンは住みやすい街ではありますが、ただひたすら広いばかりで唯一NASAの施設があるくらい。NASAは観光客も入れるけれど、地元の人は意外と行かないんですよね。実は私もまだ未体験です(笑)。

——新シーズンを控え、体調管理で気を付けていることはありますか?
そこは私の疎いところで、特に管理らしいことはしてなくて……。もともと身体は丈夫な方なので、管理しなきゃという危機感がないのかもしれません。ご飯は基本的に一日一食。食べると身体が重くて引き上がらないような感覚があって、朝昼抜きで夜だけ食べるようにしています。学生の頃からなので、もうこの生活に慣れてしまいましたね。友達のなかには朝たくさん食べないと動けないという人もいるけど、私はむしろ食べなきゃと思うとストレスに感じてしまうので、だったら好きなリズムで食べた方が健康的なのではと考えるようになりました。その分夜はしっかり食べます。ヒューストンでは自炊で、お米が大好きなので日本食を作ることが多いですね。なるべくタンパク質を摂るように心がけていて、メインはたいていお肉です。よく作るのは、チキンのステーキとか、サイコロステーキとか……。身体作りという意味では、ジャイロトニックを習っています。日本にいるときは地元の大阪のスタジオで、ヒューストンでは資格を持っている友達のところへ週に一回通ってました。ジャイロトニックは筋肉を意識してトレーニングをするので、バーレッスンで使っていない部分も動かすから新しい気づきがある。ケガをしにくくなったりと、バレエの身体作りにとても役立ちます。

——日本にいる間にしたいこと、帰国時の楽しみといえば?
一番はやはり家族や友達に会うことです。私は4人兄弟なので、飯島家はいつも賑やかです(笑)。あと絵を描いたり観たりするのも好きで、日本はあちこちで個展をやっているので、美術館に出掛けることも多いですね。

——飯島さんといえば、ファッショニスタとしても有名です。
母がおしゃれ好きで、その影響が大きいと思います。小さい頃母が絶対に着せてくれなかったのが、ふりふりのレースが付いたいわゆる女の子らしいお洋服。私は着たかったんですけど、完全に母の趣味ですね。学生のころはずっと母が洋服を選んでくれていたので、自分で買ったことはありませんでした。おしゃれに目覚めたのはヒューストンに行ってから。現地でいざ洋服を買おうとしたら、自分の好きな服がわからなくて、雑誌などを見て研究するようになったのがはじまりです。割と何でも着ますけど、カテゴリーでいえばモード系が好き。ブランドは決めていなくて、洋服を買うときはいつも出会いです。今日着ているセットアップはスウェーデンのデザイナーの服で、ヒューストンで購入しました。

——ご自身のファッションを載せたインスタグラムも大人気ですね。
インスタは4年くらい前にはじめました。フォロワーは今1万3千人くらい。ファッションをきっかけに私のインスタを見て、“この人バレリーナだったんだ、じゃあバレエを観に行ってみよう”と思ってもらえたらと……。バレエに馴染みのない人たちにアピールする、ひとつのきっかけ作りもかねて続けています。実際“インスタで飯島さんを知り初めてバレエを観に行きました”というコメントをいただくこともあって、すごく嬉しいです。特に“いいね!”をたくさんもらったのは、モード系の服にポワントを履いてフォトグラファーと作品撮りをしたときの写真。ファッションとバレエを融合させて格好いい作品が作れたらと考えていて、そこからまたバレエの和が広がればと思っています。

——ヒューストン・バレエ団でまた新たなスタートを切ります。飯島さんが今後目指すところとは?
もとの場所に戻るということで、今まで以上に成長しなければと思っています。チューリッヒ・バレエで見つけた課題をカバーしていきたいというのがまずひとつ。課題はコンテンポラリーに対する苦手意識をなくすこと。今までは自分を思うように出せない部分があって、ずっと見よう見まねで踊ってきたけれど、苦手意識をなくして自分なりの動きができるよう挑戦していきたいです。その上で、お客さんやダンサーの間に良い風を吹かせていけたらと思っています。

 

公 演 情 報

2017横バレトップ770_350

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Aプログラム 6/9(金)19:00~

◆「ラ・バヤデール」よりソロルのヴァリエーション
2014年ローザンヌコンクール優勝の際に踊ったヴァリエーション。
二山の持つ魅力を存分に味わうことのできる1曲です。
二山治雄

◆「グラン・パ・クラシック」
華やかな曲にのせて高度な技が次々と繰り広げられる、スターダンサーにふさわしい作品。
近藤亜香(オーストラリア・バレエ プリンシパル)
チェンウ・グオ(オーストラリア・バレエ プリンシパル)

◆「アラジン」
振付:デヴィット・ビントレー
新国立バレエ団で世界初演後、バーミンガム・ロイヤルバレエやヒューストン・バレエ団でも上演された、子どもから大人まで楽しめる作品。
飯島望未(チューリッヒ・バレエ グルッペ・ミット・ソロ)
八幡顕光(新国立劇場バレエ団プリンシパル)

◆「ジゼル」
昨年の公演で絶賛の嵐だった倉永・清水の豪華ペアによるロマンティック・バレエの王道「ジゼル」は、バレエファンなら絶対見逃せません。
倉永美沙(ボストン・バレエ団 プリンシパル)
清水健太(ロサンゼルスバレエ団プリンシパル)

◆「ジュリエットとロミオ」よりバルコニーのパ・ド・ドゥ
*日本初演
振付:マッツ・エック
2014年バレエ界のアカデミー賞と言われる「ブノワ賞」を日本人が初めて受賞したことで大きな話題となりました。待望の日本初演!!
湯浅永麻(元ネザーランド・ダンス・シアター)
アントン・ヴァルドヴァウワー(スウェーデン王立バレエ)

◆「Mononoke」
ダンス界で今大きな注目を集めているシディ・ラルビ・シェルカウイが加藤三希央のために振り付けた新作。
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
加藤三希央(ロイヤルフランダースバレエ団)

◆「Que Sera」より~ 柳本の場合 ~
*+81新作
前々年、前年と話題と笑いを巻き起こした柳本雅寛の意欲作!
熊谷拓明との化学反応も乞うご期待。
振付:柳本雅寛
柳本雅寛(コンテンポラリーダンサー +81主宰)
熊谷拓明(ダンス劇作家)

◆「スターズ&ストライプス」
20世紀の偉大な振付家ジョージ・バランシンによるアクロバティックなジャンプや回転技が魅力の作品です。
振付:ジョージ・バランシン
竹田仁美(NBAバレエ団プリンシパル)
二山治雄

◆「SOLI-TER」より
かつてパリオペラ座で上演された「SOLI-TER」を、横浜バレエフェスティバルで
オーギュストが踊るためにアレンジした特別な作品です。
振付:ジョゼ・マルティネズ
オーギュスト・パライエ(カンヌ・ロゼラ・ハイタワー・バレエ学校)

◆「タイトル未定」Aプログラムバージョン
*ジュンヌバレエYOKOHAMAのデビュー作。新作世界初演。
10代の若さですでにバレエの道をひたすらに進んでいく大きな覚悟を決めた彼ら。
この作品がプロへの道のりの出発点となることでしょう。
振付:遠藤康行(元フランス国立マルセイユ・バレエ団 ソリスト・ 振付家)
ピアノ:蛭崎あゆみ
オーギュスト・パライエ
川本真寧(2015年オーディション優勝)
縄田花怜(2016年オーディション優勝)
中島耀(2016年オーディション神奈川県民ホール賞)
中村りず(2015年オーディション第3位)
竹内渚夏(2017年オーディション第3位)
丸山萌(2017年オーディション第4位)
亥子千聖(2017年オーディション第5位)
生方隆之介(2017年オーディション第6位)

◆「ラ・バデヤール」幻影の場ソリスト第1ヴァリエーション
オーディションで高く評価された確かな基礎力と、高度な技術力が必要な最後の見せ場が大きな見どころです。
大岩詩依(2017年オーディション準優勝)

◆「ドン・キホーテ」バジル・第3幕
オーディションでは、1ミリたりともぶれない軸の強さを見せつけたピルエット(回転技)で 観客を圧倒しました。まだ中学生とは信じがたいほどの驚異的なテクニックをご覧ください。
松浦祐磨(2017年オーディション優勝)

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Bプログラム 6/10(土)16:00~

◆「バラの精」
バレエ・リュスの代表作ともいえる「バラの精」
二山と竹田が観客を美しい幻の世界へいざなってくれることでしょう。
竹田仁美(NBAバレエ団プリンシパル)
二山治雄

◆「海賊」
公私ともにベストパートナーの2人による安定感抜群のパ・ド・ドゥ、
そして超人的なテクニックは絶対に生の舞台で見るべき!
近藤亜香(オーストラリア・バレエ プリンシパル)
チェンウ・グオ(オーストラリア・バレエ プリンシパル)

◆「ジュリエットとロミオ」よりバルコニーのパ・ド・ドゥ
*日本初演
振付:マッツ・エック
湯浅永麻(元ネザーランド・ダンス・シアター)
アントン・ヴァルドヴァウワー(スウェーデン王立バレエ)

◆「walking with hands」
クラシックとはまた違った世界観による倉永美沙の新たな魅力とその表現を堪能できる作品です。
振付:Paulo Arrais(パウロ・アハイス)
倉永美沙(ボストン・バレエ団 プリンシパル)

◆「ジゼル」
倉永美沙(ボストン・バレエ団プリンシパル)
清水健太(ロサンゼルスバレエ団プリンシパル)

◆「3 in Passacaglia」
2013年、JAPON dance projectによってカンヌで上演された話題作を飯島・八幡・遠藤の魅力的なキャストで再演決定!
振付:遠藤康行
飯島望未(チューリッヒ・バレエ グルッペ・ミット・ソロ)
八幡顕光(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
遠藤康行(元フランス国立マルセイユ・バレエ団 ソリスト・ 振付家)

◆「Que Sera」より~ 熊谷の場合 ~
*+81新作
Aプログラムとはまた違った味わいをお楽しみください。
振付:柳本雅寛
柳本雅寛(コンテンポラリーダンサー +81主宰)
熊谷拓明(ダンス劇作家)

◆「Mononoke」
*シディ・ラルビ・シェルカウイ 新作世界初演
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
加藤三希央(ロイヤルフランダースバレエ団)

◆「ソワレ・ド・バレエ」より
米沢唯が2015年の横浜バレエフェスティバルで踊り、そのスーパーテクニックに
拍手喝采となった作品を、今年はなんと畑戸が踊ります!
畑戸利江子(2013年モスクワ国際バレエコンクール 銅賞)

◆「タイトル未定」
*Francesco Curci(フランチェスコ・クルチ) 新作日本初演
芸術監督の遠藤がフランスでその才能に度肝を抜かれた2m級のスーパーダンサー、
オーギュスト・パライエ。その彼が遂に日本初登場!
振付:Francesco Curci(フランチェスコ・クルチ)
オーギュスト・パライエ(カンヌ・ロゼラ・ハイタワー・バレエ学校)

◆「パリの炎」
フレッシュなペアによる競演!
プロ顔負けの高難度技をいとも簡単そうに演じてしまう2人から
一瞬たりとも目が離せません。
大岩詩依(2017年オーディション準優勝)
松浦祐磨(2017年オーディション優勝)

◆「タイトル未定」Bプログラムバージョン
*ジュンヌバレエYOKOHAMAのデビュー作。新作世界初演。
振付:遠藤康行(元フランス国立マルセイユ・バレエ団 ソリスト・ 振付家)
ピアノ:蛭崎あゆみ
オーギュスト・パライエ
川本真寧(2015年オーディション優勝)
縄田花怜(2016年オーディション優勝)
中島耀(2016年オーディション神奈川県民ホール賞)
中村りず(2015年オーディション第3位)
竹内渚夏(2017年オーディション第3位)
丸山萌(2017年オーディション第4位)
亥子千聖(2017年オーディション第5位)
生方隆之介(2017年オーディション第6位)

詳細はこちら⇒ http://yokohamaballetfes.com/