NDT-世界を牽引する現代バレエ団NDTが13年ぶりに来日

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PICK UP!

平山素子インタビュー!
『Hybrid Rhythm & Dance』スペインツアー、そしてNBAバレエ団での世界初演作に向けて。

演出振付家・ダンサーとして、コンテンポラリーダンス界の第一線で活躍する平山素子さん。2016/2017シーズンの幕開けは、『Hybrid Rhythm & Dance』のスペインツアーに、CM出演、NBAバレエ団での世界初演作と、多彩なシーンでその才能を発揮します。10月のスペインツアーを控えた平山さんに、この秋の活動をお聞きしました。

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インタビュー・文:小野寺悦子

——今年3月に新国立劇場で初演を迎え、好評を博した『Hybrid Rhythm & Dance』。この秋、スペインで再演を果たします。
『Hybrid Rhythm & Dance』はスペイン・バスクの伝統楽器とアイヌの音楽をミックスし、そこに現代的なダンスをからめて新種の舞台芸術を発信するというコンセプトの作品で、バスクの音楽家・オレカTXと床絵美さんの歌が生演奏されています。当初からスペインでも上演したいと望んでいて、10月下旬から3週間かけてスペインツアーが実現しました。今回訪れるのはバスク地方で、近代的な劇場が少ないエリア。新国立劇場のようにはできない部分も多く、ツアーに向けて修正を加えているところです。せっかくの再演ですから、創りきれていなかったと感じる部分をよりクリアに、初演以上にバージョンアップできるよう先鋭のダンサーたちとリハーサルに邁進しています。

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——3月の初演を拝見して、今までの平山作品とはまた違う印象を受けました。
私自身もこれまでと違う感覚がありました。今まではパーフェクトを目指したい頑固なところがあったのですが、この作品では音楽やキャストの個性・文化性の違いがいい形で絡み合ってエネルギーとして放たれいく、それを受け入れられる自分を発見しました。伝統音楽はずっとループしているイメージがありますが、オレカTXの音楽はアレンジが良く、プリミティブな部分を残しつつ現代的な洗練されたセンスも持ちあわせているんです。彼らは本来5人グループですが、初演時は4人の来日でした。今度は5人全員そろうことで音の厚みも深まるはずです。

——初演時にやりきれなかったこと、今回の再演で叶えたいこととは?
自分のソロに集中する時間が十分割けなかったこと。新作ゆえ創作に莫大な時間がかかり、私自身の身体の仕上げが後回しになってしまい、自分の作品を踊ることの難しさを味わいました。本番の一週間ほど前には、もうこれはムリかもしれないと思った瞬間もありました。再演に向け、今回はしっかり踊り込んでいくつもりです。たった一人の女性の存在が少し違うだけで全体のストーリーすら新しいものに見える、そんな部分を私が引き受けられれば初演を上回る成果をあげられると信じています。現地の反応が今からとても楽しみです。

——12月にはNBAバレエ団で世界初演作を発表します。キャスト選定に際し、オーディションを行ったとお聞きしました。
NBAバレエ団は研修生も含め若いダンサーが100名ほど所属しています。オーディションはセレクト目的ではあるけれど、皆にチャンスがあるべきです。私にとっても最初のプレゼンテーションの場で、興味を持ってほしいですし、一緒に楽しんでもらえる人を望みますと提示したつもりです。内容は、30秒位の短い動きの組み合わせを渡して動いてもらいました。完全に素子スタイルです。採用したのは、ゲストの二山治雄くんも含めて15名。高い技術を持っていることももちろんですが、拓かれたマインドで共に歩んでくれるだろうと思える人、動きの切れ味よくチャレンジ精神のある人に惹かれます。

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——どんな作品になりそうですか?
形になっていないもの(ダンス)を言葉で限定的にあらわすのは怖く、実はまだタイトルが決まっていません(笑)。クリエイションもどうなるかわからないところから始めて、各自が潜在的に持っているものを見逃さず抽出していくというのが私のスタイル。最初に構成や役を決めてしまって説明することはしません。まずは私の興味のあることを言い続けます。今回だったら日本の妖怪。かまいたちや座敷童といった妖怪が八百万の神として自然の中に宿っているのが日本文化の素敵なところだと感じていて、昔から興味がありました。最初はヒアリングからスタートして“妖怪に会ったことはありますか”“ないです”“でも金縛りはあります”“そのときはどんな感じでしたか”といったやりとりをダンサーたちとしてから、モティーフとなる動きを膨らませてみたり……。そこで生まれた断片を散らばらせておいて、ダンサーの放つエネルギーが流れ出てきたら、最終的に一列につなぎあわせていくというやり方です。最初から明確な答えを求めているのではなく、どうなるかわからないハラハラ感が好きなんです。

——クラシックダンサーに振付をする上で、勝手の違いを感じることはないですか?
あります。今ではコンテンポラリーダンスは、ダンサーも積極的に提案してクリエイションに参加していくのがスタンダードになっています。これに対して一般的にバレエダンサーは振付を真面目に待っていて、動きを渡すと忠実に再現しようとするし、“ここは好きにやって”と言うと戸惑ったりします(笑)。その違いも楽しいですね。むしろ彼らを驚かせなければと燃えていて、彼らができそうになると“あと半回転多く回って”とか、どんどんアイデアを深め、難度を高めています。ダンサー達は素直で勢いがあります。必ずいいものになると思います。

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——二山さんがゲストとして出演します。振付をしていて、彼はどんなダンサーだと感じますか?
すごく面白いですね。動きを渡すと、“え、わからない、できないかも……”なんてぼそっと言うけれど、実際動くと誰よりできていたりする。こちらが伝えたイメージをよくキャッチしています。ニュアンスを掴むのが上手い。やはり身体性に秀でているので、同じ動きをしても見栄えが違う。“え、そんなところに足が上がるんだ”と思ったり。つまり、より妖怪っぽい(笑)。彼はソロパートのほか、男性同士のデュオもあります。

——音楽はどのような曲を予定していますか?
茂野雅道さんのオリジナル曲です。2015年に『POISON シェイクスピアを喰らう』で初めて作曲をお願いし、ドラマチックな音により作品がとても奥深いものになりました。彼は映画音楽が専門で作曲のプロセスが舞台芸術とは大きく異なります。その違い、不便さが逆に私にとっては楽しいことですが、バレエダンサーは解釈を掘り下げ動きを身体に投影していくために“音楽”は重要な手掛かりですから、リハーサル時に音楽もなければカウントもなく戸惑ったでしょう。しかし徐々に慣れてきたのか、先日無理につなげて30分ほどの通しをほとんど無音の状態で黙々と踊ってくれました。その動画を茂野さんに渡したら、今度はじゅわっと音楽が出来上がってきた。つまり作曲家もダンサーの動きに感化・触発されていくんです。このような創造スパイラルは大好きです。
今の時代は情報が溢れて何をやっても似てると言われてしまい、本当のオリジナルというのは難しい。ならば、一番の表現者であるダンサーが最も新鮮に感じる原点に立ち戻る必要がある。そのためには、創造プロセスを工夫していかなければと考えています。

——積水ハウスの木造戸建て注文住宅『シャーウッド』のCM出演も大きなトピックですね。
久しぶりに純粋に表現者として臨んだお仕事です。木の温もりや商品の高級感、女性が充実した人生を送っている様を身体だけで表現する必要があり、これは責任重大だと感じました。ただ現場では自由に踊らせていただき、テーマに合う部分を上手く編集して下さったので、仕上がったCMを見て“こうなったんだ!”と感動しました。撮影時で面白かったのが“もっと幸せそうに踊って”と言われたこと。そういえば、私は幸せをテーマに踊ったことがなかったなと改めて気付かされました。このCMは1年間ほど放映されますので、ぜひご覧ください。
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——実際の平山さんからはとても温かく幸せな印象を受けますが、舞台上にあらわれるものはまた違う。これはどこから来るのでしょう?
平和にみえて内なる野生がふつふつと湧き上がる、自分にどこかで危機感を覚える、それが“何故作るか?”という問いに対する答かもしれません。崖っぷちに追い込むことがクリエイションにつながっているのは事実です。今の日本は満ち足りてはいるけれど、どこか枯れてる部分も感じていて、油断すると落ちていく。その裏側にあるざらっとした感覚を入れ込んでいるのだと思います。現代社会の光と影、表裏一体のものを私なりの方法で切り取っているつもりです。

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——多彩な活動を通し、平山さんが今思うこととは?
CM出演のように踊り手として集中することもあれば、『Hybrid Rhythm & Dance』では構成演出に出演もし、NBAバレエ団の新作では完全に振付家に徹する。それぞれの立場の違いを顧みながら、これまでダンスの先に何に喜びや驚きを見出していたのか、ここから自分がどうなっていくのか振り返りたい時なのかもしれないなと感じています。

 

★ ☆ ★ 公 演 情 報 ★ ☆ ★
NBAバレエ団公演『Stars and Stripes-スターズ&ストライプス-』
ジョージ・バランシン作品「Stars and Stripes」日本のバレエ団として日本初上演
ダレル・グランド・ムールトリー新作・世界初演
平山素子新作・世界初演

http://www.nbaballet.org/performance/index.html

日時:
2016年12月3日(土)開場10:30・開演11:00/開場14:30・開演15:00
2016年12月4日(日)開場13:30・開演14:00

会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

チケット料金:
全席指定
SS席 10,000円
S席  8,000円
A席 6,000円
学生券 2,000円(中学生以上)
注意事項:3歳未満の乳幼児のご同伴はご遠慮ください。

お問い合せ・電話予約:NBAバレエ団事務局(月~金10:00~17:00)
TEL:04-2937-4931

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★ ☆ ★ 公 演 情 報 ★ ☆ ★
MOTOKO HIRAYAMA, EMI TOKO & OREKA TX DSS2016 TOUR
「HYBRID Rhythm & Dance」

日時:
サンセバスチャン/VITORIA EUGENIA THEATRE
2016年10月21日(金)22日(土)23日(日)
http://dss2016.eu/en/agenda/oreka-tx-hybrid-rythm-dance

ビルバオ/ARRIAGA THETRE
10月26日(水)
http://www.teatroarriaga.com/programacion/hybrid-rhythm-dance/

パンプロナ/GAYARRE THEATRE
11月1日(火)
http://www.teatrogayarre.com/portal/aE.aspx?id=1160

ヴィトリアガステイツ/PRINCIPAL THEATRE
11月1日(金)
https://www.vitoria-gasteiz.org/we001/was/we001Action.do…

演出・振付・出演:平山素子
出演:OBA、小㞍健太、鈴木竜、池島 優、皆川まゆむ、西山友貴、池島優
唄(ウポポ):床絵美
音楽:オレカTX
舞台監督:柴崎大 照明:足立恒 衣裳:堂本教子 美術:遠藤 豊 音楽監修:笠松泰洋
主催: Donostia / San Sebastián 2016 Europako Kultur / NPO alfalfa / Txalap.art
助成: Cultural Affairs / EU Japan Fest / Eusko Jaurlaritza, Kultur saila /
Gipuzkoako Foru Aldundia
初演:2016年3月25日 東京・新国立劇場 中劇場
新国立劇場 主催 2015/2016シーズン ダンス公演

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