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PICK UP!

NBAバレエ団5月公演「死と乙女」
久保綋一 舩木城 インタビュー

この5月に世界初演を迎えるNBAバレエ団の『死と乙女』。芸術監督・久保綋一、作曲/ピアノ・新垣隆、太鼓・林英哲、振付・舩木城と、ジャンルを超えた4者が贈る注目のステージです。上演に先がけ、振付を手がける舩木さん、そして芸術監督でありダンサーとしても出演する久保さんにインタビュー! 作品にかける意気込みを伺いました。

【舩木城インタビュー】

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Q:太鼓奏者の林英哲さん、作曲家でありピアニストの新垣隆さんとタッグを組む本作。振付依頼が来た時の心境をお聞かせください。
舩木:久保さんに連れられ、小田原の道場に行ったのが林さんとの最初の出会いです。その後彼のステージを二度ほど観る機会があり、この人と作品を作りたいと思うようになりました。僕はいつも音楽ありきで振りを付けるタイプなので、まず自分がその曲を好きかどうかというのが前提になる。だから音楽がない状態で作品を作ろうと思うこと自体、自分でも何だか不思議な気持ちでした。でも林さんの太鼓を聞いて、この人とできるなら賭けてみようという気持ちになって……。林さんの推薦でお名前が挙がったのが新垣さん。新垣さんは今回10曲の短編で構成された全25分ほどの音楽を作ってくれましたが、初めて聴いた時は“なんてすごい作曲家なんだろう!”と思いましたね。太鼓とピアノの音色だけで、よくこれほどバラエティ豊かな曲が作れるなと。最初は賭けではあったけど、幸運にも素晴らしい音楽と出会うことができた。音楽に惚れ込み、これでバレエを作りたいという気持ちが一段と強くなりました。

Q:タイトル『死と乙女』は、エゴン・シーレの絵から取ったものだそうですね。
舩木:もともと僕はエゴン・シーレの絵が大好きで、いろいろ話す内に林さんも好きだということがわかり、“エゴン・シーレの絵のような作品が作れたら面白いよね”ということでモチーフとして付けました。ただ出発はエゴン・シーレですが、そこに抱くイメージがそれぞれ違うから、最終的にどこまで行くのかわからない。新垣さんの解釈で生まれた音楽に対して、今度は僕が振付をしてと、キャッチボールをしていく感じ。生と死だったり、陰と陽であったり、いろいろな意味で取ることができる。タイトルから想像させるものもあるだろうし、必ずしもその通りになるとは限らない。その人によって違う解釈ができるのも、面白いところではないでしょうか。

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Q:クリエイションはどのように進めているのでしょう。
舩木:最初にオーディションをしてキャストを決めました。男女合わせて16人が出演しますが、みなさんに20秒くらいの振りを踊ってもらい、そこで選んだ形です。僕が好きなのは、基本的にいいバレエダンサー。あと、他の人と似てないダンサー。NBAバレエ団はすごくバラエティ豊かで、みんなそれぞれ個性が違う。だから面白いし、ダンサーから受けるインスピレーションも大きいですね。生みの苦しみはもちろんあるけれど、音楽がある限りどこかに出口はある。自分がいい時も悪い時も、ダンサーがいい時も悪い時も音楽は常にそこにある。みんなが頼るべきところが常に音楽で、間違ったものを作った時は直感でわかるし、そこに自分の意図は入れない。作ってみて正解だったら、音楽が“合ってるよ”と必ず僕に教えてくれます。

Q:林さんと新垣さんも舞台上で演奏されるのでしょうか。
舩木:舞台の奥にタワーを作り、おふたりにはそこで演奏していただきます。ライブだから毎回テンポも違うだろうし、緊張感もより一層増すでしょう。ダンサーには“ここは何拍子になっていて、ここはテーマの繰り返しになっていて……”と、音楽の構造自体を理解させるようにしています。作曲時に新垣さんといろいろ相談をして、本番では林さんの太鼓はリズムを崩さない形で演奏され、ある時はそこへ新垣さんのピアノが即興で入ってきます。
けれど、ダンサーが音楽の構造を理解していればきっと対応できるはず。ゴールは僕にもちょっと想像がつかないというか、途中で僕の手から離れる瞬間、ダンサーへ完全に渡る瞬間を待ってる感じ。あとは、どんどん僕の知らないところまで行って欲しい。今回は生の音楽で踊ることで、もっと遠くに行けるんじゃないかと思っていて。ダンサーには自由にいて欲しいし、彼らがどこまで行くのか、それは僕にとっても楽しみなところです。

クリエイションでは自ら率先して手本となり、ダンサーを導いていく舩木さん。自身ダンサーとして国内外の名門バレエ団で活躍したキャリアの持ち主であり、その研ぎ澄まされた動きはメンバーに何よりの説得力を与え、音楽との親和を深めます。
今回は男女16名いるキャストのひとりとして、芸術監督の久保さんも出演。芸術監督として、いちダンサーとして、本作にかける想いを語ります。

 

【久保綋一インタビュー】
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Q:本作『死と乙女』には、ダンサーとして出演もします。舩木さんの振付を踊ってみて、手応えはいかがですか?
久保:すごく面白いですね。この作品に限らず僕は誰の作品を踊っていても楽しいし、ダンサー目線で言うなら今取り組んでる作品が一番好き。ただ城くんの作品は非常に波長が合うんです。彼のことは昔から知っているけど、とても才能があって、最近やっと世の評価が追いついてきた気がします。
作品としては、まず音がすごい。新垣さんはやっぱり素晴らしい才能の持ち主だなと改めて感じますね。林さんもまた天才であり、現代日本音楽界を代表するおふたりに負けないよう、一緒になって盛り上げて行きたいと思っています。

Q:一昨年の『ドラキュラ』、昨年の『HIBARI』、そして今回の『死と乙女』と挑戦作が続いています。さらに年末には平山素子の世界初演作を含む三部作『Break the mold』を上演するなど、日本初演作やオリジナル作品に力を注いでいますね。
久保:今回の『死と乙女』もそうですが、ジャパンメイドはひとつの路線としてこれから積極的に手がけていくつもりです。新しい作品への挑戦は、お客さまに新鮮な舞台をお見せするというのはもちろん、ダンサーのためでもある。ダンサーに刺激を与え、彼らの芸術性が豊かになれば、観客の芸術水準にも寄与できる。踊り手と観る側、総合的に大きな円となり、日本の文化水準向上につながればと考えています。

Q:本作を踏まえ、バレエ団が今後目指すものとは?
久保:長期的に考えたら、グローバルスタンダードを目指したい。目標は10年後。ダンサーをリスペクトするという意味では収入面の保障が必要であり、そのためには舞台回数も必然的に増やさなければいけないし、お客さまに沢山足を運んでもらわなくてはいけない。そうなると自ずと課題も見えてくる。今のところ順調に行っていて、いい流れになっていると思います。それに考えていることはみんな同じで、僕だけではなくバレエ界全体の機運として高まってるのを感じます。だからたぶん変わるだろうし、実際のところ徐々に変わってきてる。僕の中では、目標は100%叶うと信じています。

本公演は、林英哲と英哲風雲の会の演奏によるAct01『和太鼓』、ライラ・ヨーク振付によるアイルランドの民族舞踏Act02『ケルツ』、舩木城振付作Act03『死と乙女』の三部作として上演予定。NBAバレエ団が発信する新たなジャパンメイドのステージ、その記念すべき世界初演の瞬間に立ち会ってみてはいかがでしょうか。

インタビュー・文:小野寺悦子

 

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=l55Yjc_iCrI?rel=0&w=450&h=253]

 

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=YMMRhwMnH-8?rel=0&w=450&h=253]

 

★ ☆ ★ 公 演 情 報 ★ ☆ ★
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公演名: 『死と乙女』

日時:
2016年5月27日(金)開場18:30・開演19:00
2016年5月29日(日)開場12:30・開演13:00/開場16:30・開演17:00
公演は約2時間を予定。

会場:北とぴあ

チケット料金:全席指定
5月27日(金)プレビュー公演
SS席 9,000円/S席 7,000円/A席 6,000円/学生席 3,000円(大学・高校生)
※29日13:00のSS席は完売しました。

5月29日(日)本公演
SS席 10,000円/S席 8,000円/A席 7,000円/学生席 3,000円(大学・高校生)

※注意事項:3歳未満の乳幼児のご同伴はご遠慮ください。

お問い合せ・電話予約:
NBAバレエ団事務局(月~金10:00~17:00)
Tel:04-2937-4931
http://www.nbaballet.org/

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