新生NBAバレエ団が放つ、この秋注目の超大作『DRACULA(ドラキュラ)』
ハロウィンを前にスリリング極まりなく感動的な舞台はいかが?
“吸血鬼もの”の古典として名高いブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」を異才マイケル・ピンクがバレエ化した注目の超大作をNBAバレエ団が日本初演する。
物語はロンドンの弁護士ジョナサン・ハーカーがルーマニアの城に住むドラキュラ伯爵に招かれたことから始まる。伯爵の正体を知ってしまったジョナサンは囚われ、伯爵はロンドンへ。ジョナサンの婚約者ミナと、その友人のルーシー、精神医学者のヴァン・ヘルシング教授らを巻きこんでジョナサンとドラキュラの戦いの幕が切って落とされる――。
アメリカのミルウォーキー・バレエ芸術監督を務めるピンクはイングリッシュ・ナショナル・バレエで主役を踊り多くの巨匠と仕事した。伝説の名花ナタリア・マカロワとジョン・クランコの歴史的傑作『オネーギン』で共演を果たすなど華々しく活躍。そのキャリアを活かし新たに創られた作品は“21世紀のクラシック・バレエ”と称えられている。
数あるピンク作品のなかでも抜群の人気を誇るのが今回上演される『DRACULA』だ。1996年にイギリスのノーザン・バレエ・シアターのために振り付けられた。作曲はピンクの盟友フィリップ・フィーニー。舞台装置・衣裳デザインは世界的に著名なデザイナー、レズ・ブラザーストーン。スコアがCD化されていることからも好評ぶりがうかがえる。ことにアメリカでは“歩くホラーショー”と呼ばれるくらい人気が高いそうだ。
一昨年NBAバレエ団芸術監督に就任した久保紘一は長年アメリカで主役を踊った実力者である。在籍したコロラド・バレエ団で『DRACULA』に接し日本での上演を熱望していた。昨年1月筆者が久保に取材した際すでに同作を「ゼロから振りと音楽を付けて創られ、音と振りが完全にマッチしている」と語り、ピンクを「天才!」と讃えていた。
「ディレクターに就任したのは日本のバレエ界を変えたいから」そう公言する久保は着実に前進する。昨年は英国ロイヤル・バレエ団『不思議の国のアリス』で有名なクリストファー・ウィールドンの『真夏の夜の夢』を日本初演。今年の「トリプルビル」では名匠アントニー・チューダーの心理バレエ『葉は色あせて』などモダンで清新な息吹を伝える名作を取り上げた。アメリカでの豊富な経験を背景に日本の観客が感動し刺激を受ける作品群を綿密な計画に基づいて上演する。『DRACULA』もその流れにあるのは間違いない。
カンパニーのクオリティも向上している。若く志気の高いダンサーが作品ごとに新たな顔を見せ、踊りに深みが加わってきた。彼らの熱演によって名作の鮮度と魅力がいや増している感も受ける。今回そこにドラキュラ役としてマシュー・ボーン作品やブロードウェイミュージカル『キャバレー』などでマルチプルに活躍する大貫勇輔が客演。新生NBAバレエ団と、しなやかな踊り、豊かな表現力を兼ね備えた大貫のケミストリーに期待したい。
文:高橋森彦(舞踊評論家)
★☆★ 公演情報 ★☆★
公演日:
2014年10月25日(土) 18:30~
2014年10月26日(日) 15:00~
料金:
【S席】10,000円 ※ナビとく設定有り
【A席】 8,000円 ※ナビとく設定有り
【B席】 5,000円
【学生席】3,000円
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⇒http://www.balletnavi.jp/performance_detail.php?id=900572
会場: ゆうぽうとホール(五反田)
ドラキュラ特設サイト⇒http://www.nbaballet.org/performance/2014/dracula/index.html
投稿日: 2014 年 9 月 30 日
カテゴリ: 公演プレビュー(レビュー)