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海外のコンクールレポート2(フランス)
《CONCOURS INTERNATIONAL DE DANSE CLASSIQUE LE CHAUSSON D’OR 》

昨年12月にも海外のコンクールレポートを寄稿いただいたパリ在住の松永麻衣子さんに、今回もフランスのコンクールについてレポートをご提供いただきました。皆さま是非ご覧ください。

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先週末3月19、20日、フランスで開かれる国際コンクールでは1番難関と思うわれる《CONCOURS INTERNATIONAL DE DANSE CLASSIQUE LE CHAUSSON D’OR 》が行われました。
場所は凱旋門と新凱旋門をつなぐ大通りに面したTheatre de Neuilly sur Seine.
パリ市内ということもあり、海外からの参加者も多く集まります。 難関中の難関ですが、実は毎年日本からもこのコンクールに参加する子供達がいるのです。
フランスでも日本人の評価は高かく、テクニックは特に評価され毎年のように入賞しています。

さて、申し込みをすると、コンクールの2週間前ぐらいに選手ナンバーのバッジが届きます。 これを当日つけて会場へ入ります。

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このバッジと一緒に送られてきたコンクールのロゴのポーチ。
こういうものがとても嬉しい子供達です。
モチベーションが上がり、コンクールをとても待ち遠しく思ったようです。

【 1日目: ELIMINATOIRE 】

高層ビルと新凱旋門が近くに見えます。朝8時に会場が開きます。 こんな普通のビルの中に素敵なステージがあるなんて想像できません。看板などなく、入り口のガラスのドアに張り紙があるだけ。エントランスの壁には、参加者の踊る順番などが貼り出されています。 到着したらまずはここを確認します。

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今回は180名近い参加者です。
激戦区は12、13歳のESPOIR 53名。

《カテゴリー:クラス》
PREPARTOIRE : 8歳、9歳
ETUDE A : 10歳、11歳
ETUDE B : 10歳、11歳
ESPOIR : 12歳、13歳
SUPERIEUR : 14歳、15歳
PROFESSIONNEL : 16歳?22歳
*ETUDE のAはドゥミポワント、Bはポワントと同じカテゴリーでも分かれています。

《評価の仕方》
小さい子のカテゴリーPREPARTOIRE は総合得点で評価されます。
ETUDEより上のカテゴリーは Technique :テクニックと Artistique:演技力で得点がつけられ、総合得点で順位が決まります。

《出場の順番》
各カテゴリー、女の子の出演が終わって男の子という順番だったり、小さい子から始めたりと様々ですが、このコンクールは毎年苗字のアルファベットで出場順番を決めていきます。 去年は”S”、今年は”G”からの順です。

2階3階が控え室兼ショフモンの部屋になっています。 まずはスクールごとに場所を確保。 出場前の1時間半から2時間前に会場入りするのを目安としています。予選は衣装ではなくシンプルなレオタードで挑みます。 体を温めたり、メイクをしたり、各自先生の指示に従って準備を進め、先生チームがヘアやメイクの最終チェック。

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コンクールのスタッフが、カテゴリーの小さい順PREPATOIRE(8歳、9歳)から名前を呼び出し舞台裏へ誘導してくれます。親や先生は入れないので、会場へ行って開始時間を待ちます。椅子も床も深紅の会場は幕まで真っ赤。 クラシックな雰囲気で気分も盛り上がります。

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1番目。9時に始まりました。出番が終わると、同じスクールのお姉さんたちとコンクールのカタログを見たり、個々にお弁当を食べたり過ごします。お姉さんたちは午後からの出場、客席で応援するためずっと会場で過ごしまた。大きなお姉さん達の演技は素晴らしく、こんな風になりたい! と、小さいながらに夢を見るのでしょう。
コンクールはやる気を刺激するいい機会でもあります。

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さて、20時。
待ちに待った結果がカテゴリーごとにガラスのドアに貼り出されます。 予選通過してガッツポーズするこの横で、泣いている子がいたり。。

順位は《PLACE》、番号、名前、点数。。。そして、予選通過者は《FINALISTE》と明記されます。

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1日目終了。
年齢を超えて付き合えるなんて素晴らしい! バレエという共通項があるからですね。
色々な話をしながらメトロで家へ向かいました。

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【 二日目:FINALE 】
今日も小さな子のカテゴリーから始まるので8時に会場へ。FINALISTEだけになったので、控え室が広く使えます。

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この燕尾服は先生の手創り。着るのがとても難しいので、先生自ら着付けてくださいます。蝶ネクタイも手創りで”願”をかけたのか? ゴールドの首ひもでした。コンクールの名前”CHAUSSON D’OR”は”金の靴”という意味ですから。

衣装を着てヘア&メイクが終わった子供達は各自体を温めていきます。念入りに、念入りに。予選同様、出演順に名前が呼ばれていきます。足を冷やさないように室内履きを履いて舞台裏へ移動。その前に、スクールの先生は生徒一人一人に声をかけビズしてくれます。

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小さいカテゴリーの子供達は踊り終わった後にまず着替えます。
夜に表彰式があるので、それまでの7、8時間もを過ごすのはリラックスできるスタイルでスクールのロゴ入りパーカーを着ています。会場でお姉さんたちの舞台を見て、応援するのです。

《Variation adageとVariation libre》
ESPOIR(12歳.13歳)とSUPERIEUS(14歳、15歳)のカテゴリーは予選にはなかったVariation adageが二日目は加わります。

出番前のESPOIR の子供達。

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長い待ち時間は同じスクールの子供達で集まって遊んで過ごします。朝8時からずっと会場にいるので、本当に仲良しになります。
18H30 すべて終了し「出演者はコスチュームに着替えて会場に戻ってきてください」というアナウンスが流れました。これから毎年恒例のオペラ座若手ダンサーたちの20分ほどの舞台を見ます。その後すぐに表彰式が始まるからです。

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舞台が整えられ審査員の方々も舞台に上がり、さあ、表彰式の始まりです。結果発表もカテゴリーの小さい順から。順位の下の方から名前を呼ばれていきます。舞台に上がり観客に挨拶をして表彰状をいただき、そのまま子供達は舞台に残ります。

 

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《CONCOURS INTERNATIONAL DE DANSE CLASSIQUE LE CHAUSSON D’OR の順位》
CHAUSSON d’or :金賞
CHAUSSON d’argent :銀賞
CHAUSSON de bronze :銅賞
1e mention :4位
2e mention :5位
3e mention :6位

そして、最後に賞を惜しくももらえなかった予選通過者:FINALISTEたちも舞台に上がり、賞状をもらい長い2日間のコンクールは幕を閉じました。

カテゴリーETUDE AでCHAUSSON de bronze :銅賞を受賞した同じスクールのアナエルちゃんと我が長男。アナエルちゃんは現在オペラ座で子役として出演中の実力派です。

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次女はPREPARTOIRE : 8歳、9歳 の最年少で予選通過が目標で参加したのでFINALISTEになれ大満足です。

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銅賞の賞状の他にこんな本とエコバッグをいただきました。夏のヴァカンス中に行われるワークショップなどもとても興味深い副賞です。ESPOIR以上は賞金もあり、しかし今年は残念なことにカテゴリーの枠なしで与えられる最高の賞グランプリに該当する子供がいませんでした。

INFOM :LE CHAUSSON D’OR オフィシャルサイト(日本語もあり)
http://www.chausson-or.com/index.php/presentation-du-concours/

 

今週末はフランス全国大会のCND(Concours Confederation Nationale de Danse)の地区予選が行われます。 そんな、コンクールシーズン真っ只中のフランスです。

 

追伸:このコンクールには数十名のベルギーの子供達が参加していました。
その二日後に起きたブリュッセルのテロ事件は11月にパリを襲ったテロの恐怖が蘇り他人事ではありません。
あの子達が無事でいてくれることを祈ります。
暴力がこの世からなくなりますように。

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記事・写真松永麻衣子

 

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