アメリカ屈指の人気カンパニーのスターが集結し魅惑のプログラムを披露
～「スター・ガラ2015 ボストン・バレエの精鋭たちによる饗宴」いよいよ開幕！
文：高橋森彦（舞踊評論家）
アメリカ北東部マサチューセッツ州の州都を拠点とするボストン・バレエは、いま、最も注目されるバレエ団の1つといえよう。2001年に就任した芸術監督ミコ・ニッシネンが世界的巨匠や気鋭振付家の作品をどん欲に取り入れ、アメリカを代表する大バレエ団へと成長した。2013年のロンドン公演も大成功を収めた超話題のカンパニーから、このたび精鋭11名が来日し、6月26日(金)に一夜限りの特別公演を行う。第1部に『ジゼル』第2幕、第2部に「ボストン・バレエ ダンサーらによるコンサート」を上演する豪華版だ。
中心的存在が日本でも知られるアルタンフヤグ・ドゥガラーである。モンゴル出身の彼を20世紀を代表する巨匠ローラン・プティが晩年に重用した。牧阿佐美バレヱ団の『若者と死』や『ピンク・フロイド・バレエ』での活躍は記憶に新しい。東京小牧バレエ団への客演を重ねており、『シェヘラザード』金の奴隷でしなやかで色気のある踊りを見せたかと思うと、『牧神の午後』牧神では禁欲的かつ知的なアプローチで天才ニジンスキーが創り出した斬新な振付の妙を浮き彫りにする。ボストンでも現代作品の主軸や『牧神の午後』の牧神を踊っており、多様なダンス・スタイルに適応する柔軟な身体と知性を併せ持つ。
アルタンフヤグ・ドゥガラー「シェヘラザード」金の奴隷 撮影：飯田耕治 Koji Iida
ドゥガラーとともに目玉といえるのが倉永美沙だ。大阪に生まれ、2001年のローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップを獲得後渡米し、モスクワ国際バレエコンクールのジュニア部門、ジャクソン国際バレエコンクールのシニア部門でともに金賞を受けた。フィジカルが強くテクニックに秀でる倉永は、東洋人初のボストン・バレエのプリンシパルに昇進し、いまやカンパニーの金看板として欠かせない。日本人屈指のワールドクラスのプリマ・バレリーナであることは衆目の一致するところであろう。本年スキンケア・ブランドSK-Ⅱのブランドムービーにも登場し、その存在がより知られるようになった。今回は『ジゼル』第2幕でタイトル・ロールを踊りドゥガラーと共演するほか新鋭ジェフリー・シリオと『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥを披露。日本では2012年11月の東京小牧バレエ団公演『白鳥の湖』全幕のオデット／オディール役以来の登場となるだけに、まさに待望の舞台となる。心・技・体が充実した圧倒的な踊りを見せてくれるに違いない。
倉永美沙＆ジェフリー・シリオ「ドン・キホーテ」
ボストン・バレエで22年間踊ってきた重鎮ユーリ・ヤノウスキーも世界が注目する才能だ。この春、カナダのトロントで催されたエリック・ブルーン・プライズの振付賞を獲得し振付家としても声価を高める。今回は公私のパートナーで“バレエ界のアカデミー賞”とも称されるブノワ賞の候補経験もあるキャスリーン・ブリーン・コムズとヴァル・カニパロリ振付『椿姫』よりパ・ド・ドゥと自作『Niris』を踊る予定なので楽しみにしたい。振付といえば、先にふれたジェフリー・シリオも新進の振付家として注目されておりCirio Collectiveというプロジェクトを立ち上げた。今回も彼の『Of Trial』が日本初演される。
他の出演予定者もボストン・バレエのプリンシパルあるいはソリストばかりで受賞歴・実績は一級である。市河里恵にも注目したい。長野出身のベテランで、古典から現代作品まで多彩に活躍中だ。なお『ジゼル』第2幕の共演は東京小牧バレエ団＆オーディションによる出演者(チラシより)。幕を通しての本格的な上演のようなのでうれしい。
勢いに乗るボストン・バレエの精鋭たちの妙技と個性を思う存分味わい尽くせそうな魅惑のラインアップ。近来にない新鮮で意義深い企画だけに開幕が大いに楽しみである。
★ ☆ ★ 公 演 情 報 ★ ☆ ★
「スター・ガラ２０１５ ボストン・バレエの精鋭たちによる饗宴」
第1部「ジゼル」第2幕
ジゼル：倉永美沙 アルブレヒト：アルタンフヤグ・ドゥガラー
ミルタ：市河里恵 ヒラリオン：ユーリ・ヤノウスキー
共演：東京小牧バレエ団＆オーディションによる出演者
第2部 ボストン・バレエダンサーらによるコンサート
【出演予定ダンサー】
アルタンフヤグ・ドゥガラー／倉永美沙／キャスリーン・ブリーン・コムズ／ジェフリー・シリオ／リア・シリオ／ホイットニー・ジェンセン／ラシャ・ホザシヴィリ／ユーリ・ヤノウスキー／イザック・アキバ／市河里恵／ブラッドリー・シャラゲック
※チラシ画像はクリックでPDFファイルを開くことができます。
会場：新宿文化センター 大ホール
日時：２０１５年６月２６日（金） １８：３０開演
料金：S席10,000円 A席8,000円 B席6,000円 C席4,000円
プレイガイド：博品館1F TICKET PARK／チケットぴあ／ローソンチケット／e＋(イープラス)
お問合せ・お申込み：東京小牧バレエ団 03-3377-7764
http://www.komakiballet.jp/
投稿日： 2015 年 6 月 3 日
カテゴリ： 公演プレビュー（レビュー）
