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新国立劇場バレエ団シンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツ公演プレビュー&ダンサーインタビュー動画

日本で唯一の国立バレエ団、新国立劇場バレエ団はいま、充実のときを迎えている。
もちろん1997年の発足時からその水準の高さは注目されていた。だが、公演には外国人ゲストダンサーの力を借りる(舞台上にというよりも、話題作りや観客動員という目的か)時代もあった。ところが昨年夏の「ドン・キホーテ」では4回公演の主役を団員のみの4キャストで上演。どの日も満席の観客に絶賛された。

レパートリーも着実に広げているが、どの公演からも感じる上品な雰囲気は設立当時からの新国立劇場バレエの美質。最近ではその舞台に厚みや深みが増した。ともすれば「きれい」で終わってしまうこともあった舞台に「味わい」や「面白さ」が加わってきたとも言えるだろう。その理由のひとつにダンサーの層が厚くなったことが挙げられる。現在の同バレエ団には、湯川麻美子ら設立当時からのメンバーがベテランならでの演技を見せつつ、新人たちもまばゆい輝きを放っている。また、バレエ団生え抜きとも言える新国立劇場バレエ研修所出身者(本島美和、八幡顕光、小野絢子ら)と国内外のバレエ団からの移籍組(福岡雄大、長田佳世、米沢唯、菅野英男ら)などバックグラウンドの異なるダンサーがお互いに刺激しあっている風にも見える。ダンサー一人ひとりが個性を鮮やかに輝かせながら、なんとも言えないチームワークの良さを感じさせるのもこのバレエ団の大きな魅力だ。

その新国立劇場バレエ団が3月に上演するのが「シンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツ」。2月には古典中の古典で、同バレエ団でも繰り返し上演している「白鳥の湖」を成功させたダンサーたちが、今度は全くスタイルの異なる三作品に挑む。

まず一作目は、今注目の女性振付家ジェシカ・ラングが新国立劇場バレエ団のために振り付けた「暗やみから解き放たれて」。新国立劇場でダンサーたちとリハーサルを重ねながら創り上げられた作品だ。出演者はダブル・キャスト。小野絢子、本島美和、長田佳世、湯川麻美子、福岡雄大、福田圭吾ら新国立劇場バレエ団が誇る実力あるダンサーが名前を連ねている。彼らの新たな個性が発見できそう。注目の世界初演だ。

続いては、オランダの振付家でネザーランド・ダンス・シアターの創立メンバーの一人でもあるハンス・ファン・マーネンの「大フーガ」。ベートーヴェンの楽曲に振り付けられた作品でネザーランド・バレエ・シアターでの初演後、英国やドイツなどの複数のバレエ団がレパートリーに取り入れている人気作。新国立劇場バレエ団がこの作品に取り組むのは今回が初めてだ。

最後は、ジョージ・バランシンの「シンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツ」。20世紀の最も偉大な振付家バランシン作品のいくつかは、すでに新国立劇場バレエ団の人気レパートリーだ。背がすらっと高く細身のバレリーナによる「セレナーデ」は清涼感にあふれている。また、同バレエ団ならではの繊細で正確な動きの連なりは、「テーマとヴァリエーション」「シンフォニー・イン・C」などの整然とした美を際立たせる。昨年秋の「アポロ」ではタイトルロールの福岡雄大が荘厳ささえ漂う圧巻の演技を見せた。

さて今回、初めて手がける「シンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツ」は、1972年にNYで初演された作品。「アポロ」(1928年)、「セレナーデ」(1934年)、「シンフォニー・イン・C」「テーマとヴァリエーション」(1947 年)など、いままでのレパートリーよりも後に振り付けられ、バランシンの絶頂期の傑作といえる。音楽はストラヴィンスキー。同じくロシア出身でバレエ・リュスを経てアメリカに移住したバランシンとストラヴィンスキーは親しい友人関係にあり、この作品は作曲家の没翌年にバランシンが企画した「ストラヴィンスキー・フェスティバル」のオープニングとして発表された。

特別なストーリーはない。パワフルかつスピーディ。ジムナスティック風の動きも取り入れられた斬新な作風だ。知的なパズル、あるいは抽象絵画を見るような新鮮さも感じさせる。出演者全員に求められるのは、精密なテクニックとエネルギー。精神的な強さもないと踊りこなせない。たしかに、いまの新国立劇場バレエ団でこそ見たい作品だ。

文:桜井多佳子

 

新国立劇場バレエ団
長田佳世さん八幡顕光さん米沢唯さんに公演に向けてメッセージ動画をいただきました。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=mX_jYJiXqok?rel=0]

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=nxfTm1ploIc?rel=0]

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=p138XvhhTZo?rel=0]
動画撮影:石川陽
取材協力:新国立劇場バレエ団

 

☆★☆ 公演情報 ☆★☆
新国立劇場2013/2014シーズンバレエ
「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ」

【芸術監督】デヴィッド・ビントレー

暗やみから解き放たれて
【振付】 ジェシカ・ラング
※当演目は録音音源による上演となります
大フーガ
【音楽】 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
【振付】 ハンス・ファン・マーネン
シンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツ
【音楽】 イーゴリ・ストラヴィンスキー
【振付】 ジョージ・バランシン

【指揮】 アレクセイ・バクラン
【出演】 新国立劇場バレエ団

日程:
3月18日(火)19:00
3月19日(水)19:00
3月21日(金・祝)14:00
3月22日(土)14:00
3月23日(日)14:00

会場:新国立劇場 中劇場 (京王新線 新宿駅より1駅、初台駅中央口直結)
〒151-0071東京都渋谷区本町1-1-1

【チケット】
S席10,500円/ A席8,400円/ B席6,300円/ C席4,200円/ D席3,150円/ Z席1,500円 

Webボックスオフィス(PC、携帯共通) http://pia.jp/nntt
ボックスオフィス 03-5352-9999
チケットぴあ http://pia.jp/t/ (PC、携帯共通)、
イープラス http://eplus.jp/nnttballet/ (PC、携帯共通)
ローソンチケット、CNプレイガイド ほか
*新国立劇場では、高齢者割引(5%)、障害者割引(20%)、学生割引(5%)、ジュニア割引(中学生以下20%)など各種の割引サービスをご用意しています。新国立劇場ボックスオフィスまで。

新国立劇場ホームページ http://www.nntt.jac.go.jp/
公演特設サイト  http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/symphony/
主要キャスト告知ページはコチラ http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/140308_004317.html