松山バレエ団 新「白鳥の湖」全4幕

【PICKUPについて】

このコーナーはバレエナビが取材させて頂いたホットな話題を取り上げております。
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PICK UP!

世界最高峰&最新の注目舞台を映画館で心ゆくまで味わう!
~シアタスカルチャー ロイヤル・オペラ・ハウス&ボリショイ・バレエ団

 

コヴェント・ガーデンの最新舞台を居ながらにチェック!

今年7月に行われた英国ロイヤル・バレエ団日本公演は大盛況。“演劇の国”ならではの洗練された演技や国際色豊かなスターによる夢の饗宴に多くの観客が酔いしれた。

その余韻冷めやらぬなかロンドンでは新シーズンが開幕。今すぐにでもコヴェント・ガーデンに駆けつけたい!と居ても立ってもいられない方も多いだろう。そんなファンへのうれしいプレゼントがシアタスカルチャー「ロイヤル・オペラ・ハウス」。ロイヤル・オペラ&ロイヤル・バレエの最新公演を中継上映で日本に居ながらにして鑑賞できる。

さる10月17日、英国ロイヤル・バレエ団の新制作した『ドン・キホーテ』がイオンシネマを中心とする全国各地の映画館で一斉に中継上映された。

 

21世紀の『ドン・キホーテ』を!

『ドン・キホーテ』はスペインを舞台に宿屋の娘キトリと床屋のバジルの恋を描いた楽しいバレエだ。ロイヤル・バレエ独自の版の制作に際し演出・振付を任されたのはキューバ出身のカルロス・アコスタ(同バレエ団プリンシパル・ゲスト・アーティスト)。

アコスタはプティパの原典を重んじつつ物語を膨らませ踊りを充実させた。中継映像の前に流れたメイキングのなかで「21世紀の『ドン・キホーテ』を創りたい」と抱負を語る。

プロローグ。自らを中世の騎士と信じるドン・キホーテの前に憧れのドルシネア姫の幻影が登場。それに導かれ従者のサンチョ・パンサを伴って旅立つ。家々がひしめく街並みを模した装置が引っ込み広場が出現。さあ、キトリとバジルの恋物語のはじまり、はじまり!

 

活気ある演技と特色ある演出

街の広場では、登場人物一人ひとりが性格を持って演じており活気がある。キトリやバジル、キトリの父ロレンツォ、彼が娘と結婚させようとしている金持ち貴族ガマーシュ、闘牛士エスパーダと街の踊り子メルセデスらのやり取りも楽しい。アシュトン、マクミランといった名匠のドラマティック・バレエを十八番とするだけに芝居心は天下一品である。

第2幕ジプシーの野営地の場面は異色だ。冒頭、キトリとバジルの情感あるアダージョを挿入。ジプシーの踊りに床を使った振り付けを加えるなどモダンな味付けを加えたり、舞台上でのギターの生演奏によってライブ感を取り入れるなど特色が多くみられた。

第3幕、めでたく結ばれたキトリとバジルの結婚式は街の広場で盛大に行われる。2人の結婚の立役者となったドン・キホーテの出発を皆で見送る場面も丁寧に描かれる。踊りに次ぐ踊りの洪水を楽しめるだけでなく原作の香りを残してドラマを深めた仕上がりだ。

 

多士済々のスターたち夢の饗宴!

個性豊かな踊り手たちが好演。特にキトリを踊ったマリアネラ・ヌニェスとバジル役のアコスタに拍手!ヌニェスはアルゼンチン出身でありアコスタとともにラテン・コンビとなった。2人のパートナーシップは良好。明るい恋の語らいが手に取るように伝わる。

ヌニェスは美しい容姿に恵まれただけでなく回転技をはじめ強靭な技術を誇る。それが自信に満ちた踊りにつながっているのだろう。キトリでの粋で華のある存在感。ドリアードの庭でドルシネア姫を踊った際の典雅な雰囲気。絶頂期に入った感ある。アコスタも、しなやかでキレのある踊り。力強い跳躍や細やかな脚技の一つひとつがきれい。嘆息した。

エスパーダを踊ったのはファースト・ソリストの平野亮一。日本人離れした体躯の良さが光る。線の太い踊りで魅せた。メルセデスにプリンシパル(最高位ダンサー)のラウラ・モレーラを配する贅沢な布陣。姉御肌で貫録十分に舞台を引き締め圧巻だった。ドン・キホーテのクリストファー・サウンダース、サンチョ・パンサのフィリップ・モズリー、ロレンツォのギャリー・エイヴィスら演技派が脇を固めるのも、ロイヤル・バレエのお家芸。

 

臨場感たっぷり!新しいバレエ鑑賞のススメ

「シアタスカルチャー」のバレエ上映には最新のデジタル技術が駆使されている。迫力の映像と5.1chサラウンド再生による音響。カメラワークも巧みで臨場感たっぷりだ。

たとえば今回の『ドン・キホーテ』第3幕。居酒屋の場の照明はロウソクの光を基本とし薄暗い。けれども舞台の様子をクリアかつ奥行き十分に映し出す。劇場客席では見え難いディティールまで味わい尽くせる。「単に映像でバレエを観る」という、これまでの概念を打ち破る新しい形のバレエ鑑賞といっていいのではあるまいか。

また、上映前・休憩終了後スタッフやダンサーのコメントを紹介したり、舞台袖の様子が映しだされる。「よりバレエの舞台を楽しめるように」という工夫が凝らされ、バレエ通はもちろん今後一層バレエに親しもうと考えている方にとっても有益に違いない。

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今後の上映にも注目!

今後「ロイヤル・オペラ・ハウス」シリーズでは、12月13日に『くるみ割り人形』を、来年1月28日に『ジゼル』を、3月20日に『眠れる森の美女』を、4月29日に『冬物語』を中継上映する。コアなファンにとっても垂涎(すいぜん)ものの舞台が並ぶ。

なかでも『冬物語』は来日公演でも大評判となった『不思議の国のアリス』を振り付けた異才クリストファー・ウィールドンがシェイクスピアの世界をバレエ化する新作。世界中の注目を集める。他の舞台含め現在最高の旬なキャストでの上演に期待がふくらむ。

先に名の上がった平野だけでなく小林ひかる、崔由姫、高田茜、金子扶生、蔵健太、アクリ瑠嘉、山本雅也(研修生)という日本出身者の活躍をフォローできるのも楽しみだ。

 

ボリショイ・バレエの最新舞台上映も

あわせてイオンシネマでは、ロシアの名門ボリショイ・バレエ団の最新舞台を上映している。第一弾『海賊』はボリショイならではのダイナミックな舞台の模様がいきいきと捉えられており大好評を博した。優雅な洗練美が特徴のロイヤル・バレエとの見比べも一興。

 

11月13日上映開始の『スパルタクス』はボリショイならではのスケールの大きなドラマだ。巨匠グリゴローヴィッチ雄渾の名作である。続いて古典の最高峰『眠れる森の美女』、名匠バランシンによるシンフォニック・バレエの宝石箱『ジュエルズ』、世界中で引っ張りだこの気鋭ラトマンスキーがバルザックの小説を原作に振り付けた話題作『ロスト・イルージョン[失われた幻影]』、グリゴローヴィッチの痛快作『黄金時代』と続く。

いずれも見逃したくない極上のラインナップである。

取材・文:高橋森彦(舞踊評論家)

映画館で注目の舞台を楽しめる
イオンシネマ『シアタスカルチャー』の詳細はコチラ
http://www.theatus-culture.com/