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PICK UP!

斬新でポップ、楽しく刺激的な興奮に満ちた新感覚の舞台!――異才ジョゼ・モンタルヴォが語る『トロカデロのドン・キホーテ』

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CGを駆使した独創的な映像とバレエ、コンテンポラリーダンス、ヒップホップなどさまざまなダンススタイルを融合させた斬新でポップな世界――異才ジョゼ・モンタルヴォの生み出すステージは洗練とユーモアに富み、楽しく刺激的な興奮に満ちている。

世界中が注目する才人モンタルヴォが7年ぶりの来日公演を行う。きたる12月、東京芸術劇場で上演される『トロカデロのドン・キホーテ』は、現在彼がダンス・ディレクターを務めるパリ国立シャイヨー劇場制作による話題の舞台。今年1月に初演され欧州各国中心に120回余りの上演を重ねる。10月上旬、モンタルヴォが来日し記者懇談会が行われた。

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「ドン・キホーテ」はスペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが17世紀初頭に書いた長編小説。自らを伝説の騎士だと思いこんだ下級貴族ドン・キホーテが痩馬のロシナンテにまたがり、従者サンチョ・パンサを伴って遍歴の旅に出る物語だ。スペインの国民文学である。スペイン人で母親がフラメンコのダンサーだったというモンタルヴォにとって自身のルーツと重なるだけに思い入れが深いようだ。

「ドン・キホーテ」の物語を子ども時代から見聞きしていました。セルバンテスの書いた物語を基礎に作っています。バーレスク(笑劇)の長編小説として最初期のもの。そこにあるユーモアを大事にしてエスプリをいただきました」

Don Quichotte 01@Patrick Berger
(c) Patrick berger

Don Quichotte 02@Patrick Berger
(c) Patrick berger

セルバンテスとともに19世紀後半にロシアでクラシック・バレエを確立した巨匠でフランス人振付家マリウス・プティパへのオマージュでもあるという。

「ミンクスの音楽を使ったプティパの作品を見直して現代のものにしたいと思いました。(プティパの振付から)ヴァリエーションは取り入れましたが、そのほかはダンサーたちが皆違った身体性を持つ人たちなのでズラした形で作っています」

バレエ・ファンにはおなじみの宿屋の娘キトリと床屋のバジルの恋物語のような物語の流れはあるのだろうか?

「短縮した形で、ほのめかすように入れています。アイロニーも混ぜています。(我々は)世の中を変えようとしたり夢を持つと、ドン・キホーテのような存在になると思うんです。現在のドン・キホーテはメトロを行き来しています。夢に辿りつこうとしているのですが、それはなかなかに難しい……」

トレイラーを観ると、ハイセンスな映像と多様なスタイルを取りこんだダンスが溶けあっている。古典的な物語やバレエに敬意を払いつつ「いま」を感じさせる。

「建築スタイルのように昔のものと現代のものを混ぜて作っている。現代と古典のミックス。バーレスクのユーモアやバレエへの賛歌を捧げた作品です」

多彩なスタイルが混在する独特な振付はどこから生まれてくるのだろうか?

「フランスには二つのダンスの傾向があります。ひとつはアメリカから来たモダンな傾向。ノンダンスやラジカルなものです。もうひとつは伝統と新しい現代を融合させ別なものへと発展させるもの。私は後者です。バレエもジャズダンスもフラメンコも取り入れたのは、それが根底にあるから。リズムと空間とエネルギーとジェスチャーが反響して一つのものになることを見つけるべく努力してきました」

観るものを驚かせてきた映像マジックだが、映像にこだわる理由とは?

「母がミュージカル映画好きだったので子どもの頃映画館に連れていかれました。ダンスと映像がともにあった。いまは映像が世の中を席巻いや侵略している。私は映像を使って肉体で踊られるものをより強烈に、より情熱を持てるものにしたい。より良くするものとして使いたい。テクノロジーの発達に従って(我々は)何か閉じ込めているような気がします。皆パソコンに一人向きあっているといったような。映像を使って、もっとイマジネーションの世界を広く開放して外に出たい」

Don Quichotte 06@Patrick Berger
(c) Patrick berger

Don Quichotte 03@PatrickBerger
(c) Patrick berger

13人のバックグラウンドの異なる個性豊かなダンサーに加えドン・キホーテ役として喜劇俳優パトリス・ティボーが出演。モンタルヴォは彼に全幅の信頼を寄せる。

「パトリスはユーモアをたたえていてコンメディア・デッラルテ(仮面を使う即興演劇で16~18世紀頃にヨーロッパで流行)もできる。セルバンテスのエスプリを体現できる人です」

古典的・伝統的な要素に現在の息吹を吹きかけることによって創意豊かで新しい世界を生む――。バレエ&ダンス・ファンはもちろん演劇やオペラを愛する人びと、ヴィジュアルアートに関心を抱く方々も大いに楽しめるのでは。来日を心待ちにしたい!

 

取材・文:高橋森彦(舞踊評論家)
写真提供:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)

 

【公演情報】
日程 2013年12月13日 (金) ~2013年12月15日 (日)
会場 プレイハウス
チケット料金
S席4,500円 A席3,500円
高校生割引1,000円 25歳以下3,000円 65歳以上4,000円 (要身分証)
「トロカデロのドン・キホーテ」&イサンゴ・アンサンブル「プッチーニのラ・ボエーム」セット券 S席 8,400円
※各種割引チケット及びセット券は東京芸術劇場ボックスオフィスにて前売りのみ取扱い
お問合せ
東京芸術劇場ボックスオフィス 0570‐010‐296(休館日を除く10:00~19:00)

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