貞松・浜田バレエ団訪問記
貞松・浜田バレエ団は、神戸の阪急線王子公園駅から徒歩で5分程度。住宅街の真ん中で裏は六甲山脈。神戸らしい地形を感じられるロケーションです。
バレエ団は1965年3月結成。まもなく創立50年を迎える伝統あるバレエ団です。既に国内外の公演総回数は1000回を超えたそうで、クラシックのみならず、創作レパートリーだけでも170以上だそうです。
先ずは団員レッスンを拝見させて頂きました。
少し肌寒い感じの日でしたのでみなさんバーレッスン開始の際は上着を着ていらっしゃいましたがすぐにスタジオ内は熱気を帯びました。
プリマの瀬島五月さんのバーレッスンは“バーレッスンなのに踊りをみているような感じ“でこれを拝見できただけで得したなあと思ってしまうほど。全体的に女性ダンサーに動きがしなやかで優雅な方が多くセンターレッスンに入ってからも見入ってしまいました。
団員レッスンの教師を務める芦内雄二郎さんはとってもテンポのよいレッスン。団員のみなさんもそのテンポに乗せられている感じでした。また、合間合間では丁寧にダンサー1人1人に声をかけるなど、丁寧な指導が光っていました。
レッスン後には直ぐに公演のリハーサルが開始。まだ振り付け3日目というこの日は9月公演の「カルミナ・ブラーナ」の貞松正一郎さんの“作品を仕上げていく過程”を拝見させて頂きました。
訪問の最後に団長の貞松融さんにインタビューさせて頂きました。ご一緒した時間は長くはありませんでしたが“情熱”“努力”“感謝”の3点をこんな短時間で感じられた事は今まであまりなかったので、インタビューについてはその3点に焦点をあて、エピソードと共にまとめさせて頂きました。
“情熱”
バレエ団の特徴についてお聞きすると、「バレエ団は“創作”と“古典”の2本柱です。
この両輪をまわすのが団を立ち上げた目的です。創作はまねる事ではなく、創ること。つまり、白いカンヴァスに絵を描く。そしてとにかく今を生きる。」と語るその姿からはバレエ団設立当時から続く、何十年も消える事が無い“情熱”がダイレクトに伝わってきました。
“苦労”
1967年にある音楽の先生とのご縁から始まった学校公演(既に通算700回を超える)に話が及んだ際には「バレエ団は学校公演で鍛えられた」と和らいだ表情に。
子どもは大変反応が素直で、学校公演は体育館のようなところで舞台と客席の距離が非常に近いので、ダンサーが演技力をつけて全く別人に見せないと「あっ!さっき出てきたんと同じおっちゃんや!」(笑)などと直ぐに言われてしまうそうです。バレエ団としての地固めが出来たのは学校公演のおかげと語るその姿からは今でこそ楽しく振り返える事ができる“苦労”が感じられました。
“感謝”
2013年1月12日、14日に新国立劇場地域招聘公演を新国立劇場中劇場で実施した感想をお伺いすると、「関東の人達は僕ら関西のバレエ団につめたいんじゃないかと少し思っていたけど、お客さんの反応がとても温かくて、まるで地元の神戸で公演をしているようでした。それが本当に嬉しかった。本当に感謝しています。」「新国立劇場のスタッフの方々の協力体制もありがたく、最高でした。感謝しています」と自然体で“感謝”の心を表現されていました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<編集後記>
インタビュー終了後にバレエ団近くの喫茶店で昼食(カレー)を頂きました。その喫茶店の女性店主さんと貞松・浜田バレエ団の話をしていると、公演に足を運ばれるバレエファンでいらっしゃったのですが、バレエファンの前に、貞松融ファンという感じでいらっしゃいました。私達バレエナビのメンバー2人にも「わざわざ横浜から来てくれたの!ありがたとう~!」とオーダーをしていないゆで卵とかお漬物などのサービスがドンドン。バレエ団・団長を応援している心がとても伝わってきました。そんな“応援したくなる”団長だったからこそ、50年近くもバレエ団が継続・発展してきたんだろうなと駅までの坂を下りながら考えていました。
<バレエ団の今後の予定>
創作リサイタル25
2013年9月6日(金) 開演18:30~
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
ドン・キホーテ [全幕]
2013年10月13日(日) 開演17:00~
会場:あましんアルカイックホール
くるみ割り人形 [全幕]2013年12月7日(土) 開演15:30~ お伽の国Ver.
2013年12月8日(日) 開演15:30~ お菓子の国Ver.会場:神戸文化ホール 大ホール
詳しくはバレエ団HPからどうぞ
http://www.kcc.zaq.ne.jp/shballet/sche.html
投稿日: 2013 年 7 月 8 日
カテゴリ: イベント