【PICKUPについて】

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PICK UP!

【プリンシパル昇格!!】
『横浜バレエフェスティバル』出演!
ハンブルク・バレエ団 菅井円加インタビュー

インタビュー・記事:高橋森彦

 

今年で記念すべき5回目を迎える『横浜バレエフェスティバル』に若手ホープの菅井円加さんが3度目の出演を果たします。菅井さんは2012年のローザンヌ国際バレエコンクール第1位から早7年、今では巨匠ジョン・ノイマイヤー率いるハンブルク・バレエ団に欠かせない存在へと飛躍し、先ごろプリンシパル(最高位)に昇格することがアナウンスされました。『横浜バレエフェスティバル2019』では、ヌレエフ版の『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥを二山治雄さんと、芸術監督・遠藤康行さんの新作『Little Briar Rose』を加藤三希央さんと踊ります。公演への意気込みや近況を伺いました。

 

【Bernstein Dances】von John Neumeier

 

■ノイマイヤーに導かれて

 

――2019年6月30日の「ニジンスキー・ガラ」終演後にプリンシパル(最高位ダンサー)昇進が決まりました。今の気持ちをお聞かせください。

ジョン率いる歴史ある素晴らしいハンブルク・バレエ団で、プリンシパルという大変名誉ある地位に昇進させていただき、この上なく嬉しく光栄に思います!
未だに信じられないです…。ですが、これからです。今までと変わらず、私なりに地道に精進していきます。いつも応援してくださっている方々、支えてくださっている方々のおかげでここまで来られましたので、この場を借りて感謝の気持ちを伝えさせていただきたいと思います。本当に、ありがとうございます!

 

――ハンブルク・バレエ団で多くのノイマイヤー作品を踊られていますが、昨シーズン終りの「Beethoven Project」(2018年6月初演)では新作のクリエーションに参加されました。ノイマイヤー氏の創作の現場に実際に身を置かれた感想を教えてください。
ジョンとのリハーサル、クリエーションは毎回大変勉強になります。彼はダンサーの動きを見てステップを考えたりするので、カンパニー全員が刺激し合いながら組み立てていく感じがして楽しいです。「Beethoven Project」ではさまざまなパートを踊らせてもらっていますが、特に興味深いのが白い大きなひし形の衣裳を着て踊る”モンスター”です。衣裳が大きいので、どうしたら動きが見えるか、最初は顔も隠れているのでどうしたらもっと分かりやすく全体で表現できるかなど、いろいろ悩みましたが、とてもユーモアあふれる役なので、いつも面白く楽しみながら踊っています。

 

――今シーズン(2018/19シーズン)を振り返っていかがですか?
つい先日「Shakespeare-Sonnets」(2019年6月初演)というカンパニーダンサー3人が1つの作品を創る大変難しいモダン作品のプレミエを無事大盛況のうちに終えました。今シーズンは恐らくカンパニー全員にとってとても忙しいシーズンだったと思います。特に結構昔に創られた作品をまた踊る機会が増えました。ほぼ全員のダンサーが1から振りを習わなければならなかったのですが、他のバレエも並行して公演していたので限られた時間しかありませんでした。体力的にも精神的にも挑戦尽くしのシーズンでした。

 

【Dances at a Gathering】

 

――巨匠振付家と目されるイマイヤー氏の下で踊られている立場から彼の作品の魅力はどこにあると感じますか?
ジョンの作品は感情表現に特にこだわりがあると思います。何度も公演してきている作品でも、ジョンはいつも違う視点でその作品を見直しているのでアレンジをしたりします。キャラクターの動作や感情の一つひとつ、舞台構成の細かいところにまでジョンのこだわりが感じ取れるかと思います。

 

――ノイマイヤー氏以外の作品でも活躍されています。なかでも2017年12月、ルドルフ・ヌレエフ版『ドン・キホーテ』全幕のハンブルク・バレエ団初演時に主役のキトリに抜擢され初日を飾りました。パリ・オペラ座でヌレエフの薫陶を受けたマニュエル・ルグリさんのご指導を受けられましたね。
『ドン・キホーテ』は私の大好きなバレエの1つです。ヌレエフ版はとても難しくたくさん悩みましたが、舞台の上に立つと毎回心から楽しんでキトリを踊ることができます。ルグリの指導はいつも的確で、本当に勉強になりました。彼1人で全てのキャラクターを演じることができるのでは?と思うほど、魅せ方を知り尽くした素晴らしいアドバイスをカンパニー全員にしてくださいました。彼とお仕事を一緒にさせてもらえる機会をいただけて本当に感謝しています。

 

【Don Quixote】as kitri ヌレエフ版

 

■自分に挑戦し続ける日々

 

――ジュニア時代に国内外のコンクールで数多く上位入賞されました。コンクールに出ていたことで現在プロフェッショナルとして踊る上で役に立っていることや気付くことはありますか?
正直、私はコンクールがあまり得意ではありませんでした。出場する度に凄く緊張しましたし、会場のピリピリとした雰囲気が恐くてたまりませんでした。踊り終わった後は悔しさが残り、いつも泣いていました。そんな自分を変えたくて深く悩んだ時期もありましたが、最終的にコンクールによって学んだのは”自分に挑戦し続けること”です。自分に挑戦していくことによって、他のことは考えず一つひとつの目標にしっかりと向き合えました。

 

――プロフェッショナルとして心身ともに充実させて踊っていく上で心がけていることはありますか?
先ほどお答えしたように”自分に挑戦し続けること”です。しかし、そう簡単ではありません。よく途中で心が折れそうになりましたが、そういう時は初心に戻ったり、全く違うことをしたりして気分転換します。足止めになったら一歩下がって全体に視野を広げたりして視点を変えてみると、見えてなかったものがいろいろと見えたりするので、 またそこからフレッシュなスタートが切れるのではないかと思います。

 

――本番・リハーサルに忙しい日々を過ごされていると思いますが、バレエ以外に関心があることがあれば教えてください。
忙しくなってくると、やはり時間に追われてしまい、なかなか身の回りのことができなくなってしまいます。私たちの仕事は身体が資本なので、忙しくてもきちんと必要な栄養を摂ることと、どんなに忙しくても一息つく時間を設けることは大事だと思います。たまに余裕がある時は料理を作り置きしたり、心のリフレッシュのために日本のお笑い番組を観たりします。

 

【Illusionen wie Schwanensee】von John Neumeier

 

■『横浜バレエフェスティバル2019』への期待

 

――『横浜バレエフェスティバル』に2度出られています。2016年に二山治雄さんと『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥを踊り、ノイマイヤー氏の『ヴァスラフ』よりソロも披露されました。また2018年にニコラス・グラスマンさんとノイマイヤー氏の『シルヴィア』よりパ・ド・ドゥを踊られました。『横浜バレエフェスティバル』に参加されての印象はいかがですか?
出演させていただく度に先輩、同世代、後輩からの刺激を感じます。毎年たくさん勉強させていただいております。ダンサーだけでなく関係者の皆さんの雰囲気がとても柔らかく、居心地が良いです。前回『シルヴィア』を踊った時に小道具で弓を使いましたが、弓をどこにどう置いたら取りやすいか、角度的に良く見えるかなど一生懸命試行錯誤してくださったことにとても感銘を受けました。おかげさまでストレスなく踊りに専念できるので、とても感謝しています。

 

――『横浜バレエフェスティバル2019』では2作品に出演されます。まず先ほど伺ったヌレエフ版の『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥを二山さんと踊ります。
二山君と2回目のパ・ド・ドゥを踊らせていただけるのはとても嬉しいです。彼は身体能力が高く、強いテクニックもあり、美しいダンサーで、人柄もとても良く面白い人です。2人で息を合わせてどんなキトリとバジルになれるか今から楽しみです!

 

【All Our Yesterdays】von John Neumeier

 

――芸術監督の遠藤康行さんの新作『Little Briar Rose』で加藤三希央さんと踊ります。
この度初めて遠藤さんの作品を初共演の加藤くんと踊る機会をいただき、今からワクワクしています!遠藤さんの作品を何度か拝見させていただき、構成から何からとても印象的で、一度ぜひ踊ってみたいと思っていたので大変光栄です!

 

――「横浜バレエフェスティバル2019」に向けて、あらためて抱負をお願いします。
今年も出演させていただき、また素晴らしいダンサーの皆さん、とてもプロフェッショナルで心強い関係者の皆さんとご一緒させていただくのがとても楽しみです。またたくさん勉強させていただきます。よろしくお願いします!

 


★ ☆ ★ 公 演 情 報 ★ ☆ ★

横浜バレエフェスティバル2019
~バレエの“力”が8月3日に”かながわ”へ集結!

主催:株式会社ソイプランニング、神奈川県民ホール

https://yokohamaballetfes.com/

開催日:2019年8月3日(土)

会場:神奈川県民ホール 大ホール

【出演】

小池ミモザ(モナコ公国モンテカルロ・バレエ団  プリンシパル)

平田桃子(英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 プリンシパル)

高橋絵里奈(イングリッシュ・ナショナル・バレエ リード・プリンシパル)

菅井円加(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)

津川友利江(元バレエ・プレルジョカージ)

厚地康雄(英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 プリンシパル)

遠藤康行(元マルセイユ国立バレエ団 ソリスト・振付家)

二山治雄(パリ・オペラ座バレエ団契約団員)

加藤三希央(ロイヤル・フランダース・バレエ団 ソリスト)

柳本雅寛(ダンサー、振付家、+81主宰)

大宮大奨(ダンサー、振付家、俳優)

エドワール・ユ(BEAVER DAM COMPANY 代表)

前田紗江(英国ロイヤル・バレエ団 アーティスト)

中尾太亮(英国ロイヤル・バレエ団)

井関エレナ(2018年ヴァルナ国際バレエコンクール ジュニア女子3位 /ベルリン国立バレエ学校)

難波亜里咲(2019年出演者オーディション優勝※神奈川県民ホール賞/所属:HAGAバレエアカデミー)

遠藤ゆま(2019年出演者オーディション第2位/所属:エンドウ・バレエ)

・ジュンヌバレエYOKOHAMA(桑山奈那子・小林咲穂・田中優歩・中山諒・中島耀・橋本杏梨・升本果歩・ 池上桜・沖本悠衣・荻原千聡・川野涼佳・周藤百音・高尾志結)