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PICK UP!

『横浜バレエフェスティバル』初登場!栗原ゆうインタビュー。
英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ入団を控えた若きホープに注目!

インタビュー・記事:小野寺悦子

今年『横浜バレエフェスティバル』に初登場する栗原ゆうさん。英国ロイヤル・バレエ・スクールで学び、この夏卒業。英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団への入団を9月に控え、今後の活躍が期待される若きホープです。『横浜バレエフェスティバル2018』では、フレッシャーズガラで『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥを披露。開幕に向け帰国中の栗原さんに、お話をお聞きしました。

——『横浜バレエフェスティバル』に今年初登場。松浦祐磨さんとペアを組み、『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥを踊ります。

『ドン・キホーテ』を踊るのはこれが初めてです。イギリスにいる間に自習してくるつもりでいましたが、直前まで卒業公演のリハーサルが立て込んでいたのでなかなか時間が取れなくて。結局卒業公演の翌週にバタバタと日本に帰国して、そのままリハーサルに突入することになりました。キトリを踊るのはすごく楽しいですね。だからこそ本番ではあまり楽しみすぎないように(笑)、やるべきところはしっかりおさえて踊らなくてはと思っています。
松浦さんとペアを組むのは今回が初めてです。彼とは少しだけ面識があって、以前松浦さんが英国ロイヤル・バレエ・スクールに短期研修で来たときにお会いしています。学年が違うので同じレッスンを受けることはなかったけれど、日本人の男の子が新しく来たんだな、ということで印象に残っています。
これまでもたびたびパ・ド・ドゥを踊る機会はあって、英国ロイヤル・バレエ・スクールでもブルーバードを踊っていますが、大切にしているのは、なるべくパートナーとコミュニケーションを取るということ。パ・ド・ドゥは二人いて成り立つものであるので、一人で踊ってしまわずお互いを感じられるように普段からコミュニュケ―ションを取れるようにしたいです。今回は松浦さんの方が年下なので、なるべく私がリードしていかなければと思っています。

——英国ロイヤル・バレエ・スクールをこの夏卒業されています。学校生活はいかがでしたか?

ユース・アメリカ・グランプリ(2015年の第一位)でスカラーをいただき、留学することになりました。学校は三年制ですが、留学直前にケガをしてしまったので、最初の一年間は休学して二年生から学校に通っています。ケガをしたのも初めてだったし、半月板と靱帯の損傷というかなり大きなケガだったので不安も大きかったですね。リハビリあけにレッスンをしたらまたケガをしてしまったりと、完全に再起するまで2年弱かかってしまいました。
イギリスでは学校の寮で暮らしていました。1・2年生の寮は朝と夜の二回ご飯が出るけれど、3年生の寮は自炊です。最初の頃は食べるものも日本とは違うし、言葉もあまりわからないしでいろいろ大変でしたね。ただ慣れてくるとイギリスの生活も結構楽しくて、お休みの日にショッピングに行ったり、公演に行ったり、友達とお出掛けしたのもいい思い出です。

——日本で受けてきたレッスンとロイヤルのクラスで何か違いはありましたか?

日本だと先生から細かく注意をしてもらえるけれど、ロイヤルの場合はひとりひとりに対してというより生徒全員に言う感じ。それに日本のハードなレッスンと違ってイギリスはリラックスした雰囲気があるので、その分自分自身できちんと考えてレッスンをしなければなりません。
二年生までは通常の座学もあって、そのあとクラスレッスンを受け、お昼休みをはさんで午後はそのほかのレッスンやリハーサルにあてられます。クラシックのほかに、コンテンポラリーダンス、キャラクターダンスなどさまざまなクラスがありましたが、新鮮だったのは振付の授業。自分で考えて動いたり、表現力を身につける上でとても勉強になりました。
年に一度の学校公演のほかに、カンパニーの公演に生徒が出るチャンスも用意されています。私も『くるみ割り人形』と『シルビア』でカンパニーの舞台に立つことができて、すごくいい経験になりました。

——卒業公演はいかがでしたか?

学校の方針なのか、キャストがぎりぎりまではっきり決まらず、正式に発表されたのは公演直前になってから。期待に応えられるよう頑張りたいという想いがある一方で、いろいろな役の練習をしなければならなくて、そこはすごくストレスを感じるところでしたね。演目のうちのひとつはアンソニー・ダウエル版の『眠れる森の美女』で、私はソングバードとブルーバードを踊っています。卒業公演は全部で三回あって、まず野外ステージで二回踊り、最後にオペラハウスで踊りました。卒業公演には一般の方も来ますし、先生方やバレエ団の方も観に来ます。私の両親も日本から駆けつけて来て、“楽しかったよ!”と言ってくれました。

——今年9月から英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団に入団が決まっています。

スクールの卒業試験を英国ロイヤル・バレエ団と英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の芸術監督が見に来ていて、何人かカンパニー入りする生徒が選ばれました。私もそこで声をかけていただいた形です。学校を卒業しても向こうに残ってどこかバレエ団に入りたいと思っていたので、いろいろオーディションを受けるつもりで準備をしていましたが、結局ひとつも受けることなく決まってしまいました(笑)。シーズンのスタートは9月からですが、カンパニーは8月13日から始まるので、それまでにイギリスに戻る予定です。
英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団は今年日本ツアーがあったので、しばらく来日はないかもしれません。だけどツアーカンパニーということもあり、きっとそのうち日本で踊ることができるのではと期待しています。

——踊ってみたい作品、憧れのダンサーといえば?

クラシックからコンテンポラリーまで、いろいろな作品を踊ってみたいです。好きな作品は『マノン』。ストーリーの深い作品に惹かれます。あと『不思議の国のアリス』も今年英国ロイヤル・バレエ団で上演されたときに観てすごく好きになりました。
英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の新シーズンは『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』からスタートして、年明けには『美女と野獣』もプログラムに入っています。現芸術監督はデヴィッド・ビントレーですが、来年1月に変わることになっていて、彼がカンパニーを去る前にオリジナル作品をいろいろ上演すると思うのですごく楽しみにしています。
憧れのダンサーは、マリアネラ・ヌュネズやスヴェトラーナ・ザハロワ、高田茜さんもすごくきれいだし……。表現力や芸術性など、それぞれ学ぶところがたくさんあるのを感じます。

——プロになる前の最後の夏休みですね。帰国中にしたいことはありますか?

友達にも会いたいし、温泉にも行きたいし、日本でしたいことはいっぱいあって。ただバーミンガムに行く前に先生からのご指導を受けようと思っているので、お休みはあまりなさそうです(笑)。
バレエをはじめたのは7歳のとき。最初は茨城の教室に通っていましたが、その後東京に引っ越しをして、渡辺郁子先生の教室に通うようになりました。日本に帰ってきて渡辺先生のお稽古を受けるとほっとします。渡辺先生は身体の使い方などすごく細かく見てくれるので勉強になりますね。先生に“英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団に受かりました”と伝えたら、“よかったね!”とすごく喜んでくれました。

——いよいよプロダンサーの仲間入りを果たします。どんなダンサーになりたいですか?

バレエ団に入るからには、やはりプリンシパルを目指したいという気持ちがあります。英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団は日本人もたくさん活躍していて、プリンシパルも含めて現在4人が在籍しています。上を目指すには人より何倍も努力しなければいけないけれど、精一杯がんばるつもりです。
観た方に感動してもらえて、お客さまを幸せにできるダンサーになるためにも日々努力していきたいし、親にも感謝しなければと思っています。
『横浜バレエフェスティバル2018』はプロになる前の最後のステージでもあり、海外でプロとして踊っていくという意味でも、みなさんにきちんとした踊りをお見せしたいと思っています。ぜひ楽しんでもらえたらうれしいです。

 

★ ☆ ★ 公 演 情 報 ★ ☆ ★

横浜バレエフェスティバル2018
日時:2018年7月21日(土)15:00開演


★ワールドプレミアム 
「シルヴィア」よりパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
ハンブルク・バレエ団芸術監督のジョン・ノイマイヤーが、パリ・オペラ座のために創作した「シルヴィア」。1997年の初演以来再演を繰り返してきた名作が、ハンブルク・バレエ団の菅井円加とニコラス・グラスマンペアにより今再び蘇ります。
菅井円加(ハンブルク・バレエ団 ソリスト)
ニコラス・グラスマン(ハンブルク・バレエ団)

「グラン・パ・クラシック」
ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝を果たし、現在パリ・オペラ座バレエで踊るニ山治雄と、ENBソリストの金原里奈が共演。成長著しい彼らの“今”をお見逃しなく!
金原里奈(イングリッシュ・ナショナル・バレエ ジュニア・ソリスト)
ニ山治雄(パリ・オペラ座バレエ団短期契約)

「Dido and Aeneas」*日本初演
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
今世界で最も注目される振付家のひとり、シディ・ラルビ・シェルカウイの振付作。バレエ界で最も権威ある賞・ブノワ賞で上演された話題作が、この度待望の日本初演を迎えます。
加藤三希央 (ロイヤル・フランダース・バレエ団)
オステアー 紗良 (ロイヤル・フランダース・バレエ団)

「パリの炎」よりグラン・パ・ド・ドゥ
昨年、一昨年と、圧倒的なテクニックで会場を沸かせてきたオーストラリア・バレエ団ペアが今年も登場! 公私ともにパートナーでもあるふたりが、その息の合った演技で会場を魅了します。
近藤亜香(オーストラリア・バレエ団 プリンシパル)
チェンウグオ(オーストラリア・バレエ団 プリンシパル)

「ロメオとジュリエット」よりバルコニーのパ・ド・ドゥ
振付:アンジェラン・プレルジョカージュ
フランス人振付家アンジェラン・プレルジョカージュの代表作。今回は「ロメオとジュリエット」の中でも一番の名シーンとして知られるバルコニーのパ・ド・ドゥをお届けします。
津川友利江(元バレエ・プレルジョカージュ)
バティスト・コワシュー(バレエ・プレルジョカージュ)

「半獣」
振付:遠藤康行
『横浜バレエフェスティバル』芸術監督・遠藤康行の振付作。モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパルの小池ミモザをパートナーに、荒々しくもダイナミックな作品世界を披露します。
遠藤康行(元マルセイユ国立バレエ団 ソリスト)
小池ミモザ(モナコ公国モンテカルロ・バレエ団 プリンシパル)

「What We Did for Love*新作
振付:柳本雅寛
『横浜バレエフェスティバル』には欠かせない、柳本の作品。お茶を一杯飲むようなホッとするひととき、肩の力を抜く笑いの時間を提供しながらも、すべてを計算しつくしたコンテンポラリーダンサー・柳本雅寛による最新作をお楽しみに。
柳本雅寛(+81主宰)
八幡顕光(ロサンゼルスバレエ ゲストプリンシパル)


★フレッシャーズガラ
「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
床屋のバジルと村娘のキトリの陽気な恋物語「ドン・キホーテ」。栗原ゆうと松浦祐磨の若手ふたりがペアを組み、フレッシュな魅力をステージいっぱいにふりまきます。
栗原ゆう(YAGP2015  1位、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団(9月より入団予定)
松浦祐磨(YAGP2018  1位、2017年出演者オーディション第1位・神奈川県民ホール賞)、エンドウ・バレエ

「眠れる森の美女」第3幕よりオーロラ姫のヴァリエーション
オーディションで抜群の安定感を示した升本。テクニカルなのにあどけない、15歳の今だからこそできる、透明感あふれるきらきらとした空気をお届けします。
升本果歩2018年出演者オーディション優勝・神奈川県民ホール賞)、 岸辺バレエスタジオ

「エスメラルダ」よりアクティオンのヴァリエーション
オーディション審査員から「即戦力!」とのコメントがあるほどの存在感。プロフェッショナルな可能性を感じさせる、力強くてしなやかな演技をご覧ください。
森 春陽(2018年出演者オーディション第2位)、バレエスタジオGEM

「スーブニール・ドゥ・チャイコフスキー」*新作
振付:遠藤康行
過去の出演者オーディションにより選ばれたジュンヌバレエYOKOHAMA1期生による新作です。昨年の演目「レ・ブリヨン」でお気に入りのダンサーを見つけた方もいらっしゃるはず。彼らがこの1年間で得たさらなる成長・飛躍をどうぞお見逃しなく。
ジュンヌバレエYOKOHAMA
川本真寧縄田花怜中村りず竹内渚夏丸山萌

「SOLO²」
振付:遠藤康行
今年の「第1回横浜バレエコンクール」で優秀な成績を修めた橋本とジュンヌバレエ1期生による「SOLO²」。2016年公演ではみこ・フォガティと二山治雄が演じ、高度なテクニックの連続で客席を沸かせました。これから大いなる未来が待ち受ける2人がどんなハーモニーを奏でるのか、ご期待ください。
ジュンヌバレエYOKOHAMA
橋本杏梨 生方隆之介

※演目は変更になる場合がございます。

チケットは、こちら(横浜バレエフェスティバルチケットセンター)からどうぞ。
他、チケットかながわイープラスでも扱っています。詳しくは、こちらから。