松山バレエ団 新「白鳥の湖」全4幕

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創立70年の伝統を基盤に躍進を続ける名門の特色を存分に味わえるダブル・ビル
~東京小牧バレエ団公演『火の鳥』『ショパン賛歌“憂愁”』プレビュー

文:高橋森彦(舞踊評論家)

伝統を大切にしながら大きく躍進するバレエ団がある。来年(2016年)創立70周年を迎える東京小牧バレエ団の活動が活発だ。主なレパートリーは創設者で『白鳥の湖』日本初演の中心人物でもあった小牧正英(1911年‐2006年)が第二次世界大戦中に上海バレエ・リュスで踊った経験を基に日本に紹介した古典作品やバレエ・リュス作品それに『マダレナ』『マタハリ』といった創作である。2006年の小牧没後、現団長で特定非営利活動法人国際バレエアカデミアを設立し理事長を務める菊池宗(小牧の甥)が公演規模を急激に拡大し、最近では新国立劇場のオペラパレスあるいは中劇場で盛大な舞台を催している。
現在バレエ・リュス作品は欧米それにロシアの大バレエ団のレパートリーとして定着しているが、菊池と前団長の菊池唯夫が1980年代半ばから小牧によるバレエ・リュス作品を次々に再演したのは画期的に思われる。その後、世界的にバレエ・リュス・ブームが訪れ、日本でも国内外の団体による紹介や復刻が相次いだ。先見の明があったといえよう。

『火の鳥』倉永美沙&アルタンフヤグ・ドゥガラー 
『火の鳥』倉永美沙&アルタンフヤグ・ドゥガラー 撮影:飯田耕治

今年6月には「スター・ガラ2015 ボストン・バレエの精鋭たちによる饗宴」を催しアメリカのボストン・バレエから倉永美沙、アルタフヤグ・ドゥガラーら11人を招いた。本邦未紹介だった北米最大級カンパニーからの招聘の意義だけでなく、クラシック・バレエとコンテンポラリーダンスを鮮やかに踊り分ける今日のバレエ・ダンサーの在り方を如実に示す場となった。そして、日本のダンサー/カンパニーには総じて希薄気味に思われる、全身から振り絞るような燃焼度の高い表現力に息をのんだ。「なぜ、この時期にボストン・バレエを紹介するのか」という意図・目的を筆者なりに受け止め深く感じ入ったのである。

「スター・ガラ2015 ボストン・バレエの精鋭たちによる饗宴」より『ジゼル』第2幕
「スター・ガラ2015 ボストン・バレエの精鋭たちによる饗宴」より『ジゼル』第2幕
倉永美沙&アルタンフヤグ・ドゥガラー 他 撮影:飯田耕治

バレエは今を生きる芸術であり伝統芸能ではないが、新作や話題性の強い企画がもてはやされる過ぎる傾向がなくもない昨今の舞踊界にあって、東京小牧バレエ団は伝統を受け継ぎ古典作品と現代作品の間をつなぐ近代バレエ(バレエ・リュス作品)の意義を問うてきた。むろん国内外から一流のゲストを招いたり国際交流を行ったり時代にあわせた新たな取り組みも織り交ぜるのを忘れない。「スター・ガラ」は各方面から絶賛されバレエ・ファンの満足度も高かったと思われる。8月には菊池が外務省より国際交流に顕著な成果を挙げた個人・団体に贈られる平成27年度外務大臣表彰に選ばれた。同表彰を受けたバレエ関係者は森下洋子、ニーナ・アナニアシヴィリら一部に限られるようだ。時流に流されず粘り強く活動してきた成果がようやく社会的に認知されつつあるのは何よりである。

『ショパン賛歌“憂愁”』リハーサル風景 周東早苗&李波
『ショパン賛歌“憂愁”』リハーサル風景 周東早苗&李波 撮影:飯田耕治

東京小牧バレエ団の次回公演は12月19日~20日に新国立劇場中劇場におけるダブル・ビルだ。『火の鳥』(音楽:ストラヴィンスキー)は1954年に小牧がフォーキン版に基づいて日本初演したが、今回上演するのは小牧バレエ団OBで、アメリカ等で活動してきた大御所・佐々保樹の演出・振付によるバージョン。倉永とドゥガラーが再び招かれバレエ・リュスの名作が今に蘇る。スキンケアブランドのPVでも話題を呼んだ倉永を日本の舞台で観る機会は限られるので見逃せない。創作バレエ『ショパン賛歌“憂愁”』(原振付:菊池唯夫、菊池宗 改訂振付:酒井正光)はショパンの名曲にのせた叙情的な作品で李波と周東早苗が主演し森理世(ミス・ユニバース2007)が特別出演。再演を重ねる人気作品である。

『ショパン賛歌“憂愁”』リハーサル風景 森理世&原田秀彦
『ショパン賛歌“憂愁”』リハーサル風景 森理世&原田秀彦 撮影:飯田耕治

ダンサーの層も厚くなっており楽しみだ。プリマとして知られる周東だけでなくモスクワ舞踊学校仕込みで跳躍等に秀で『マダレナ』他に主演してきた藤瀬梨菜、すらっとした肢体で雰囲気があり昨夏『ペトルウシュカ』のバレリーナ役を踊った金子綾、回転等強靭な技術の持ち主である髙瀬美季、可愛らしく目を惹く存在で全国的なバレエコンクールの最上位に二度輝いている石丸眞衣、初々しく丁寧に踊る片平成美、伸び盛りでフィジカルの強い金子紘子らに注目したい。
古典とコンテンポラリーだけがバレエではない。名門の伝統の厚みとユニークな特色を存分に味わえるはずだ。『くるみ割り人形』続きの師走に一際異彩を放つ公演である。

 

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※チラシ画像はクリックでPDFファイルを開くことができます。

 

★ ★ ★ 公  演  情  報 ★ ★ ★

東京小牧バレエ団公演『火の鳥』『ショパン賛歌“憂愁”』
 12月19日(土)18時30分、20日(日)14時
新国立劇場 中劇場(京王新線(都営新宿線乗入)「初台駅」中央口直結)
チケット料金:S席10,000円 A席8,000円 B席6,000円
主催:特定非営利活動法人 国際バレエアカデミア/東京小牧バレエ団
お問合せ・お申込み:東京小牧バレエ団事務局03‐3377‐7764
公式ホームページ: http://www.komakiballet.jp/
プレイガイド:博品館1F TICKET PARK 03(3571)1003 チケットぴあ http://t.pia.jp/
ローゾンチケット http://l-tike.com/ e+(イープラス) http://eplus.jp/

 

東京小牧バレエ団宮古島公演『火の鳥』『白鳥の湖』第2幕
2016年1月30日(土)18時、31日(日)13時
マティダ市民劇場(宮古島市文化センター)
※『火の鳥』主演キャスト:さいとう美帆、グレゴリー・バリノフ

 

『火の鳥』リハーサル風景 金子 綾 他
『火の鳥』リハーサル風景 金子 綾 他 撮影:飯田耕治

『火の鳥』リハーサル風景 石丸眞衣 他
『火の鳥』リハーサル風景 石丸眞衣 他 撮影:飯田耕治

『火の鳥』リハーサル風景 ビャンバ・バットボルト 他
『火の鳥』リハーサル風景 ビャンバ・バットボルト 他 撮影:飯田耕治