【PICKUPについて】

このコーナーはバレエナビが取材させて頂いたホットな話題を取り上げております。
バレエやダンスに関する人・商品・サービス・イベント・公演など取り上げさせて頂く話題は多岐にわたります。
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PICK UP!

バレエ・シャンブルウエスト取材

バレエ・シャンブルウエストは、今村博明・川口ゆり子夫妻により、 1989年に八王子ユースバレエとして発足。 東京都西部にある八王子市を拠点に、古典のみならず、 良質なオリジナル作品を発表しているバレエ団だ。 代表の今村博明さんにお話しを伺った。
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バレエ・シャンブルウエスト
★1989年に創立で歴史もあり、もう地元八王子も長いですね?
平成9年に『天上の詩』で芸術祭大賞をいただいたのを機にユースを取ってバレエ・シャンブルウエストとなりました。八王子は川口が40年前からバレエスクールを始めていました。歴史というか、続いていただけですが、、、。でも良いダンサーが育ってきたり、オリジナルの作品が出来ているのでそれが財産だと思います。

6月8日上演のシンデレラについて
今回第96回になる定期公演の演目は、『シンデレラ』。今からちょうど20年前。1993年6月に初演されている。
★今村博明・川口ゆり子演出振付版の特徴は?
全編にわたって愛が描かれていること。特にシンデレラに対する父親の愛が描かれています。いつもは気の弱い父親が、最後に毅然とした態度でシンデレラにもガラスの靴をはくチャンスを与えるのです。音楽的な特徴としては、第1幕の妖精の女王のバリエーションと、第3幕のシンデレラと王子のパ・ド・ドゥには、プロコフィエフ作曲のシンデレラ以外の曲を使用しています。

衣裳は大井昌子さん。こだわりとしては、シンデレラと王子の衣裳にゴールドは使わないのです。それはガラスの靴がシルバーのイメージだから。馬車も最初のデザインはゴールドだったのをシルバーに変えました。とても丁寧に制作されているので、いまだに新品のように見え、手直しせずにそのまま使っています。舞台美術は黒澤峯子さん。初演時の八王子市民会館は奥行の無い舞台だったのですが、そこにシンデレラが舞踏会に登場するシーンに、高い階段をセットしてほしいと頼んだのです。誰もが無理だという中、舞台監督の森岡肇さんと作ってくれたのです。(初演時のスタッフがそのまま揃う)

★今回の主役は、シンデレラに吉本真由美さん。王子には、シャンブルウエストで活躍後、現在サンフランシスコバレエ団ソリストの山本帆介さんですね?
吉本は2歳からうち(川口ゆり子バレエスクール)に通っていて家族のような存在です。彼女は初演から舞台に出演しているが、歳を重ね、川口の真似ではないシンデレラの役作りに苦悩しているようです。今から10年前にもこの二人で主役を踊っているのですが、山本くんは、お互いが成長した姿をお見せしたいとメッセージをくれています。

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ここで清里フィールドバレエについてお聞きします
山梨県清里高原「萌木の村」特設野外劇場で7月下旬から8月にかけて開催されている、「清里フィールドバレエ」は、日本ではおそらく唯一の野外で上演されているバレエ公演。

★今年24回目を迎えますがいかがですか?
地元清里の人たちにも愛されている公演です。バレエ団創立とほぼ同じ時期から行っていることになりますね。終演後はサイン会があったり、お客様とダンサーが言葉をかわすといったこともあります。

★今年の演目は『ジゼル』ですね?
例年は複数のプログラムが上演されるのが、今年は11公演すべて『ジゼル』1演目だけに絞りました。舞台もジゼルだけのための舞台が組まれます。

★キャストも凄い?
川口ゆり子/逸見智彦、下村由理恵/江本拓、吉本真由美/吉本泰久、松村里沙/蔵健太。ジゼル役には定評のある下村さんが今回初めて清里フィールドバレエに参加します。ジゼルはエトワールによってまったく違った舞台が出来上がる演目でもあるので、そこも見どころです。

★ここでしか見られない最高のジゼル!今年のフィールドバレエは本当に見逃せませんね?
現場スタッフの熱意、ダンサー、裏方すべての力を集結し、これぞ「清里フィールドバレエ」というものを作り上げるそうです。(制作の舩木上次さんいわく‘Theフィールドバレエ‘)だから僕もがんばります(笑)。

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★『シンデレラ』、「清里フィールドバレエ」の後のご予定は?
9月に東日本大震災直後から続けている「ポールラッシュ・ドリームプロジェクト」で被災地での学校公演に行きます。10月には文化庁の事業で愛知・静岡・神奈川など15か所での公演があります。(昨年日生劇場の親子フェスティバルで好評だったオリジナル作品『おやゆびひめ』)。そして12月には定期公演『くるみ割り人形』です。
来年3月には八王子オリンパスホールで開催のコンクールも決定しています。

★充実していらっしゃいますね?
出来る時に出来ることをやっていくだけです。

これからの活動にも期待しております。
ありがとうございました。

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インタヴューの後、『シンデレラ』のリハーサルを見学させていただいた。
『シンデレラ』リハーサル
はじめに主役のパ・ド・ドゥのリハーサル。今村さん、川口さんに、バレエミストレスの佐々木想美さんが加わる。

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王子役の山本さんは一昨日サンフランシスコから帰国し、昨日やっとリハをしたところだそう。川口さんが、「ちょっとこうしてみて」と見本を見せる。今村さんも真由美さんにこうしてみたらと手をとってやってみせる。真由美さんいわく「ハンドマジックが起きている!」と。今村夫妻のパートナーシップを目の当たりにし驚かされた。そしてひとつひとつを丁寧に作り上げている感じが見ていて心地良かった。

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主役の二人は、顔も容姿も物語のイメージにぴったりで、とてもロマンチックで楽しみ。続いて四季の精のシーンを見せていただいた。妖精の女王のすらりとした伸びやかさが目をひく。四季の精の4人は、それぞれ役柄に合った個性的な踊りで、魅力がある。コウロギ役のベンジャミンさん(サンフランシスコバレエ団)は親日家で、日本語も上手いらしい。軽快なステップをみせる。妖精のコール・ドもとても良くそろっていた。これから本公演までさらに磨きがかかり、感動の舞台が繰り広げられることだろう。

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取材後記
今村さんが自ら資料を出してきて、丁寧な説明をしてくださいました。お話しの楽しさを、充分お伝えしきれないことが残念です。様々な場所での公演や、良い環境を提供するコンクールを開催するなど、人との絆がバレエをとおしてしっかりと結ばれていることが素晴らしいと感じました。

バレエ・シャンブルウエストのHPはこちら

取材記事:村上 美樹
写真:小山 薫