SHIVER 2020

【PICKUPについて】

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PICK UP!

広大な舞台空間で一つになるダンスと音楽 

コンテンポラリー・ダンスって、なんだか小難しいのでは?そう思い、近寄り難い方もいらっしゃるかもしれない。なるほど明晰な思考や深遠な美学・哲学に裏打ちされた作品と向き合うには、それ相当の覚悟がいる面もある。けれども、大切なのは、自由な発想によるダンス・まだ見ぬ未知の表現を全身で感じ、心おもむくままに味わい尽くすこと!それこそがダンスを観る大きな喜びであり醍醐味であろう。

この春、そんなコンテンポラリー・ダンスの魅力を満喫させてくれそうなのが、東京芸術劇場の“芸劇dance”の一環として行われる「無限大∞パイプオルガンの宇宙―バッハから現代を超えて」。勅使川原三郎(ダンス)と鈴木優人(パイプオルガン)の共演だ。

勅使川原は四半世紀にわたり世界のダンス・シーンをリードしてきたダンサー・振付家。ストイックなダンスと照明や美術などの細部にいたるまで透徹した美意識の行き届いたステージによって多くの観客を虜にしている。いっぽうの鈴木は若手気鋭の音楽家。オルガンやチェンバロの奏者にとどまらず指揮・作曲・演出等にも才能を発揮している。

勅使川原は、これまでにもピアニストやヴァイオリニスト、合唱団と共演してきた。自身のソロでは、そのとき・その場所で立ちあがる音楽に身を委ね、折り重なって、空気のようになり空間に息づく。一期一会の出会いから紡ぎだされるダンスは、はかなくも美しい。純粋そのものである。今回はリリカルな感性と力強さを兼ね備えた佐東利穂子をはじめ手塩にかけるKARASのメンバーも出演。一層幅のあるダンスを披露するのではないか。

管見ながら鈴木に注目していた。蜷川幸雄が歌舞伎座で演出した『十二夜』にチェンバロで出演していたし、同じくチェンバロでラモーを弾いてコンテンポラリーダンサーと共演したのを観たことがある。繊細かつ大胆な演奏、そしてコンサート以外での豊富な舞台経験に定評ある存在。勅使川原と息のあった交感をみせてくれるだろう。
演奏されるのはJ.S.バッハ「パッサカリア ハ短調 BWV 582」(バレエ・ファンにはローラン・プティの傑作「若者と死」に用いられた曲としておなじみ)などバロック期の傑作からメシアンによる現代音楽まで多彩。即興演奏も予定される。据え付きの世界最大級のパイプオルガンでの演奏、ユニークな舞台機構を駆使するという演出も楽しみなところ。見どころ・聴きどころ満載であり、ダンス・音楽ファンならずとも足を運ぶ価値がありそうだ。

荘重で神秘的なパイプオルガンの響きと純粋なダンスが密に共鳴し、コンサートホールの広大な舞台空間で一つに溶けあう――かつてない感動と興奮が押し寄せる予感がする。ぜひ体感したい。

文:高橋森彦(舞踊評論家)
<公演概要>

20130327_01 「無限大∞パイプオルガンの宇宙―バッハから現代を超えて」日程:2013年4月12日 (金)19:00 (開場 18:00)
会場:東京芸術劇場コンサートホール
構成・演出・振付・照明:勅使川原三郎
出演 :
ダンス:勅使川原三郎、佐東利穂子、KARAS
オルガン:鈴木優人
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