【PICKUPについて】

このコーナーはバレエナビが取材させて頂いたホットな話題を取り上げております。
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PICK UP!

ロイヤル・エレガンスの夕べ(2012/8)

ロイヤルバレエの伝統と優雅さを十分に感じられた幸せな時間演目・ダンサーともに魅力満載!

英国ロイヤルバレエ団の現役トップダンサーによるガラ公演「ロイヤル・エレガンスの夕べ」が、行われた。(2012年8月28日:東京都江東区ティアラこうとう、30~31日:鎌倉芸術館)
英国バレエの「伝統と今」を日本に居ながらにして見ることが出来る貴重な公演だ。しかも会場は客席数600という観客にとっては贅沢な空間。ダンサーの息遣い、微妙な表情の変化までが、間近に受け取れる。

プログラムは、アシュトンの「リーズの結婚」で幕をあけた。ラウラ・モレーラとスティーヴン・マックレーによるパ・ド・ドゥは、目が覚めるようなテクニックの連続と楽しい表情。会場は一気に熱を帯びた。

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<la fille>

次に続くマクミランの「ウインタードリーム」より別れのパ・ド・ドゥは、ビジュアルも美しいサラ・ラム、ネマイア・キッシュ。サラ・ラムのしなやかなボディから溢れ出る切ない気持ちが、心に響いた。

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<ウインタードリーム>

続いての「ファサード」は、アシュトンの小粋な作品。崔由姫が可憐に品よく演じていた。バーミンガム・ロイヤルバレエ団からは、佐久間奈緒とツァオ・チーが、プティパの古典名作「海賊」と「白鳥」のパ・ド・ドゥを披露した。
どちらの作品も伸びやかさとポーズの決めが絶妙。佐久間のきっちりとした踊りがエレガントで際立っていた。

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<海賊>

新進の振付家リアム・スカーレットの「リーベストゥラウム」(愛の夢)は、ラウラ・モレーラとリカルド・セルヴェラ。この二人のために2009年に創作された作品で日本初演。なんともいえない情感、余韻、大人の雰囲気が魅力的。

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<リーベストゥラウム>

モダンダンス出身のウェイン・マクレガー振付「クローマ」はスティーヴン・マックレーのソロとサラ・ラム、リカルド・セルヴェラのパ・ド・ドゥ。動きの面白さはもちろん、ダンサーの身体能力の高さにも驚かされた。マックレーのソロはガラ公演でしか見られないという特別編集。

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<クローマ・ソロ>

ラウラ・モレーラによる「エリート・シンコペーションズ」よりカリオペ・ラグは、振付家マクミランの多才さを知ることが出来る楽しい作品。カラフルな衣装もみどころ。

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<カリオペ・ラグ>

「ジュエルズ」よりルビーのパ・ド・ドゥは、バランシン振付の明るく美しい作品。崔由姫とリカルド・セルヴェラがダイナミックに好演。

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<ルビー>

そしてマクミランの「マノン」寝室のパ・ド・ドゥ。ラウラ・モレーラとネマイア・キッシュの徐々に高まっていく二人の感情、特にモレーラの情熱的な表現に圧倒された。

この後は日本初演のソロが続く。スティーヴン・マックレー「アイヴ・ガット・リズム」(自作)、崔由姫「アンド・ザッツ・ミー」、リカルド・セルヴェラ「エレクトリック・カウンターポイント」、サラ・ラム「水に流して」。
どの作品もダンサーの個性が活かされ、テクニックが発揮され見ごたえがあった。
そしてラストは、スティーヴン・マックレー自作自演による「サムシング・ディファレント」。柔軟な身体から湧き出る得意のタップは、今宵の最後にふさわしく、会場に集まったすべての皆さんへの特別なプレゼントのようであった。

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<サムシング・ディファレント>

フィナーレでは、8名のダンサー全員が登場し、にこやかなレべランスで観客を魅了。温かい拍手が続いていた。ロイヤルバレエの歴史をきちんと紹介しつつ、ダンサー自身も好きな演目を踊っているという充実したプログラムは活気があり、観客の皆さんも満足したことだろう。このような素晴らしい公演を企画・主催したダンスツアーズプロダクションに感謝したい。次回の公演も楽しみだ。

Photo: Matsunao Kokubo

記事作成:村上美樹