【PICKUPについて】

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PICK UP!

『Boy story』再び、そして男性ソロを酒井はなが踊る!~アーキタンツ3月公演への期待~

『Boy story』が再演されると聞き、驚いた。
それは個人的にも印象深い作品の一つだったからである。
1998年に横浜ランドマークホールで開催されたバニョレ国際振付コンクールで上演された、香港の英国への返還を色濃く反映したこの作品は私がコンテンポラリー・ダンスを見はじめてそれほど長くない頃みた作品の中でも出色の出来であっただけではなく、政治的な問題、歴史をダンスに取り入れてかつ、ダンス作品として(プロパンガンダではなく)成立させることができるのだ、と遅まきながら気付かされた作品でもあるのだ。国際振付賞での金賞も受賞している作品で私がいい!面白い!と思っただけの作品ではない。
それが15年後の今年、再演されると聞いて、それがどう変化したのかそして誰が踊るのか興味がつきなかった。しかもオリジナルメンバーによる振り移しで、英国ロイヤル・バレエの流れをくむ香港バレエ団のメンバーが踊るという。期待できない訳がない。
スタジオアーキタンツとしての活動の開始のきっかけになった事を実は最近知ったのだが、それだけにアーキタンツも力が入っているのだろう、ということも容易に想像できる。「提灯記事」ではなく、一人のダンス・ラバーとして、そして舞踊研究家として歴史を色濃く反映したこの作品がどのような形で再演されるのか、興味が尽きない。(ちなみに、ユーリ・ンは香港で現在香港新フォニエッタのメンバーに演奏ではなく振付を行っており、スタジオでの稽古を見せてもらっただけなのだが、大変面白く是非完成したものを見たいと思っている。)
yuri_boystory

この他、同香港バレエ団の9人の男性ダンサーによって現在もっとも重要な振付家の一人であるナチョ・ドゥアトによる『Castrati』というそのタイトルの通り高音域を特異とする、元は去勢した男性歌手であった「カストラート」をテーマとした作品も上演される。これは私も未見作品だが、ドゥアトの作品でもあり、期待が高まる。
カストラーティ
Dancer: Yo Takahira  (C) Conrado Dy-Liacco

アーキタンツ公演では常連となりつつある酒井はながウヴェ・ショルツ作品、マルコ・ゲッテ作品『Mopey』を踊るのも見逃せないだろう。元々は男性ソロのこの作品を今の酒井はながどう魅せてくれるのか、期待が高まる。
と、いうのもバレエ・ダンサーとして頂点を極めつつ、近年はコンテンポラリー・ダンサーとしても目覚ましい活動を展開しており、安定した技術の上に新たな魅力を開花させている日本では些か珍しいダンサーでもあるからだ。

それにしても、近年アーキタンツの活動は以前に比べて規模が大きく、多くなっている。直近2月にも新国立劇場で公演を行っている。

『マノン』の「寝室のパ・ド・ドゥ」は酒井はなのマノンとこれで引退を表明していたロバート・テューズリーをもっと、できれば全幕で見たいと思った人も多かっただろう。私もその一人だった。『火の鳥のパ・ド・ドゥ』はマルコ・ゲッケ振付によるもの。従来の『火の鳥』とは違う魅力を観客に届けた。チューズリーは英国ロイヤル・バレエ時代に随分ロイヤル・オペラ・ハウスでも見てきたダンサーだけに、もう引退の時期かと時の流れの速さにも驚かされた。

『HAGOROMO』はデビュー時には「異形になれる身体」として輝くばかりの魅力を発揮していた森山開次によるバリ音楽とのコラボレーションによる作品。アーキタンツ公演ではやはりおなじみの能楽師津村禮次郎も加わった異色の作品となった。アレッシオ・シルヴェストリンはベートーヴェン弦楽四重奏第14番を元に振付けられた18名のダンサーによる作品『Opus131』(タイトルからついワインを想像したのは私だけではないだろう)では、バレエ・ダンサーによるシャープな作品を披露した。幅広い演目は飽きさせることはなかった。

成果を確実にあげているアーキタンツの公演、今回はより一層の期待がかかる。

文:芳賀直子(舞踊研究家)

 

【ARCHITANZ 2014 3月公演】
ARCHITANZ2011で評判となったウヴェ・ショルツ作品、話題のマルコ・ゲッケ作品をご紹介。
また、香港バレエ団が日本未公開のナチョ・ドゥアト作品とユーリ・ンのバニョレ振付賞受賞作を伴って、初来日公演を果たす。

『The Second Symphony』
振付:ウヴェ・ショルツ
出演:酒井はな、西田佑子、アレクサンダー・ザイツェフ、ヤロスラフ・サレンコ

『Mopey』
振付:マルコ・ゲッケ
出演:酒井はな

『Castrati』
振付:ナチョ・ドゥアト
出演:香港バレエ団

『Boy Story』
振付:ユーリ・ン
出演:香港バレエ団

日時:2014年3月20日(木)19:15開演 / 21日(金・祝)14:00開演/19:15開演
会場:新国立劇場 小劇場
料金:S席 5,800円 A席 4,800円 ペア券:9,000円(S席のみ)

<チケット取り扱い>
スタジオアーキタンツ
TEL:03-5730-2732
E-mail:architanz2014@a-tanz.com
チケットぴあ
http://t.pia.jp
TEL:0570-02-9999
P-コード:433-046
Confetti
TEL:0120-240-540(平日10:00-18:00)
http://www.confetti-web.com/

<お問い合わせ>
スタジオアーキタンツ TEL:03-5730-2732

◇ARCHITANZ 2014 オフィシャルウェブサイト  http://www.a-tanz.com/dance/architanz2014.html
◇公演ブログ http://architanz2014.blogspot.jp/
◇公式Facebook https://www.facebook.com/pages/Architanz-2014/192851827559713

 

 

【2月公演写真】

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