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スターダンサーズ・バレエ団バレエ『ドラゴン・クエスト』リハーサル取材&インタビュー

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=PvDZQGXnOLM?rel=0]

 

絶大な人気を誇るロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」がバレエに!スターダンサーズ・バレエ団が1995年に初演したバレエ『ドラゴン・クエスト』(全2幕)は、すぎやまこういちの名曲に鈴木稔が振り付けた快作。地沸き肉躍る興奮と楽しさに満ちている。

来たる2月15-16日、五反田・ゆうぽうとホールにて約4年半ぶりに再演する。1月下旬、同バレエ団スタジオにてリハーサル見学&インタビュー取材をさせていただいた。

バレエ『ドラゴン・クエスト』は原作がゲームという点に加え大きな特徴がある。伝説の勇者に仕える若者・白の勇者と王女をさらう魔王の配下・黒の勇者という男性二人が主人公という点。白の勇者の西島千博、黒の勇者の新村純一、長瀬伸也らの名演は語り草だ。

今回白の勇者を踊るのが吉瀬(きせ)智弘。大役が続く気鋭の若手である。スタイルよく清潔感ある踊りが魅力的だ。対する黒の勇者はゲストの浅田良和。身体のラインことに脚先が美しくダイナミックな表現力を兼ね備える。両者を中心に魔王、王女、賢者、戦士、武器商人、伝説の勇者、聖母らが登場し波乱万丈のストーリーが繰り広げられる。

リハーサルでは第1幕後半の居酒屋での場面と第2幕の冒頭部分を観ることができた。

居酒屋では白の勇者(吉瀬)が剣を持ち踊る姿は凛々しい。腕っぷしの強い野郎どもを連れた戦士(金子紗也)やインチキをはたらく武器商人(鴻巣明史)も現れ、てんやわんやの大騒ぎ。ユーモラスで楽しく、鞘から抜けない勇者の剣など原作に出てくるアイテムも登場!

指導するのは演出・振付の鈴木稔とバレエミストレスの小山恵美。泥酔する客たちの演技への細かな指導、客たちの踊るダンスに「ローリング・トゥエンティーズ(狂騒の20年代)の雰囲気を!」といったリクエストが入る。ムーディーで楽しい光景が立ちあがっていた。

第2幕冒頭では魔王、黒の兵士たちが登場。王女を幽閉している。黒の勇者の浅田は力強い回転とジャンプで場を大きく支配する。黒の兵士たちに囲まれた王女役の林ゆりえ。はかなげなポワント・ワークから囚われの身の哀しさが巧まず伝わってきた。

冒険あり友情ありスペクタクありの痛快無比に楽しいエンターテインメント・バレエ。オーケストラ生演奏も迫力十分で序曲からして感動的だ。この機会に、ぜひ劇場へ!

 

吉瀬智弘(白の勇者役)&浅田良和(黒の勇者役)インタビュー

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リハーサルに入っての感想は?
吉瀬:楽しんでやっています。小さなときからこの作品に出ており白の勇者の子役や黒の兵士たちをやりました。(白の勇者に関しては)西島さんのイメージが強いですが自分なりにできればいいなと思います。
浅田:スターダンサーズ・バレエ団の舞台に出られるんだ!と嬉しかった。いざリハーサルが始まると大変ですね。振りを煮詰めていくには、まだ時間がかかる段階です。

バレエ『ドラゴン・クエスト』の魅力とは?
浅田:凄く良くできた作品。シーンごとに分かりやすいストーリーになっているし入っていきやすい。音楽はカッコいいです!
吉瀬:ゲームを知っている人は「あの曲」って分かる。やってない人でも頭に残る音楽。

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互いをどう思いますか?
吉瀬:ライバルとかではなく上にいる人。並んでやっているのが変な感じです。
浅田:彼は小さなときから出ている。ほとんどすべての振りができるんじゃないかな。僕のパートも全部覚えている。彼と一緒で頼もしいです。

お客様へメッセージをお願いします。
吉瀬:バレエを観るのが初めての方にも、とっつきやすいはずです。題材もそうですし音楽もそう。 (バレエが)気軽なものになる橋渡し的作品という位置にあると思います。何回も来ていただける方だけでなく初めての方にも届けば嬉しいです。
浅田:「王子様とお姫様が出会いました。結婚しました。はい、おしまい。」じゃない。壮大なストーリーで感動します。劇場に足を運んでください。

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リラックスした表情の浅田さん(左)、吉瀬さん(右)

 

小山久美(スターダンサーズ・バレエ団代表・総監督)インタビュー

バレエ『ドラゴン・クエスト』誕生の経緯は?
すぎやまこういち先生と佐野光司さんという方が企画を持って来られました。鈴木稔は、さんざんゲームをやって遊んだクチで(笑)「ぜひやりたい!」となった。すぎやま先生と相談しながら2年くらい年月をかけて四苦八苦しながら準備しました。

初演(1995年9月)当時の思い出をお聞かせください。
出産などもあって初演には出ていませんが舞台は観ています。コスプレをしたドラクエ・ファンの方がいっぱい来られたのが強く記憶に残っていますね。「進め!電波少年」というアポなしでやってくるテレビ番組があって、松村邦洋さんが大きな大きなスライムの衣裳をつけて突然楽屋に現れました。「舞台に出してください!」って(笑)。それを太刀川(瑠璃子)先生(故人でバレエ団創設者・当時の代表)が「困ります!」と押し問答になりました(笑)。

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話題になった証ですね。当時若い世代にアピールする作品は少なかったのでは?
「ゲームをバレエに!?」という観る前からの抵抗が一部にありました。でも劇場では皆さん「こういうものもあるのか!」って素直に驚いて楽しんでくださっている。男の子たちにもっとバレエを観てもらいたいし引っ張り込みやすいと思います。

このバレエの独自性は何だと思われますか?
今でこそ曲もクラシックではない新しいグランド・バレエが出てきていますが、その頃日本にはあまりなかった。チャイコフスキーやプロコフィエフの音楽と今の人たちの作った曲の雰囲気は違う。エンターテインメント性が強い。「ドラクエ」の音楽って楽しいじゃないですか?キャラクターの出し方も多少違います。白の勇者とか黒の勇者は、もちろん王子とは違うし『コッペリア』のフランツみたいな好青年でもない。現代的なノリがある。ダンサーには普段と違うものが必要です。舞台装置もちょっと遊びっぽく洗練されている。

黒の勇者役にフリーランスとして活動する浅田良和さんを招きました。
バレエ団のみんなを成長させたい、機会をあたえたいという気持ちと作品としてどこまでのレベルを求めるのか――。色々な意味でのバランスです。浅田さんはいいダンサーで「物語る脚」を持っている。バレエ団第一ですが相乗効果を生むと考えてお願いしました。

白の勇者役の吉瀬智弘さんは抜擢が続きます。
今が波で上昇中。子供の頃から知っており、成長してきて、もう一段階脱皮してほしい時期に差しかかった。昨夏『牧神の午後』(ジェローム・ロビンス振付)に抜擢しましたがチャレンジだったんですよ。照れ屋で不器用で……。みてくれは悪くないのにナルシストになれなくて。苦労して悩んだと思いますが随分変わったなと。年末の『くるみ割り人形』全幕にも主演し恥ずかしくない舞台を見せた。伸び盛りなので刺激をあたえたい。

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お役様へのメッセージをいただけますか?
私たちが鈴木と一緒に作る作品はとにかく面白いものを目指している。まずは音楽でウキウキして昔ゲームをよくやったなという気持ちで観ていただいていい。ゲームを知らなくてもいい。展開は分かりやすいです。ヒーローものだから(笑)。私は勝手に時代劇を思っています。印籠を持った水戸黄門や風車の弥七みたいなのが出てくる。女戦士なんて由美かおるさんでしょ?(笑)。お姫様もいる。古典作品には筋が動かない中で踊りが続くものがありますが、これは違います。バレエを知らない方にも伝わりやすいかもしれませんね。

取材・文:高橋森彦(舞踊評論家)
撮影:石川陽
取材協力:スターダンサーズ・バレエ団

 

★☆★ 公演情報 ☆★☆
2014年スターダンサーズ・バレエ団2月公演
バレエ「ドラゴン・クエスト」全2幕

日時:2014年2月15日(土)・16日(日)ともに14:00開演
※開場は開演の45分前
※両日とも開演の20分前から会場にてプレトークを実施します。
会場:ゆうぽうとホール  東京都品川区西五反田8-4-13
音楽:すぎやまこういち
演出・振付:鈴木稔

◆ 入場料金(税込):SS席10,000円/S席9,000円(子ども6,000円)/A席6,000円(子ども4,000円)/B席4,000円(子ども3,000円)/C席3,000円(子ども2,000円)/当日学生席 2,500円(要学生証提示・22歳までの学生対象)
※子どもは、4歳~中学生対象。スターダンサーズ・バレエ団にて取扱い。

◆ チケット取扱い
 スターダンサーズ・バレエ団 TEL:03-3401-2293(土日・祝日除く10:00~18:00)
e-mail予約 ticket@sdballet.com
 チケットぴあ http://pia.jp/t/
TEL 0570-02-9999(Pコード 432-878)
● e+(イープラス) http://eplus.jp (パソコン・携帯)

◆ お問い合わせ: (公財)スターダンサーズ・バレエ団
http://www.sdballet.com TEL:03-3401-2293(土日・祝日除く10:00~18:00)