古典から現代作品まで多彩で充実!洗練と力強さあふれる韓流バレエを楽しむ!!Universal Ballet Special Gala -ユニバーサル・バレエ30周年記念- プレビュー
バレエ界にも韓流の時代!
テレビや音楽の世界では韓流が定着して久しい。その波はバレエ界にも押し寄せる。韓国人の台頭目覚ましく国際バレエコンクールで上位入賞したり大バレエ団の主役を務めたりといった話題に事欠かない。韓流バレエの大きな発信源が韓国初の民間バレエ団ユニバーサル・バレエだ。1984年の創立以来19か国で1800回を超える公演を行う。きたる1月29、30日には東京・ゆうぽうとホールでUniversal Ballet Special Gala-ユニバーサル・バレエ30周年記念-を開催する。
古典を受け継ぎ現代作品にも意欲
ユニバーサル・バレエは創設以来世界の名匠を芸術監督に迎えてきた。なかでも長年名門マリインスキー・バレエのトップに君臨したオレグ・ヴィノグラードフのもとロシア・バレエの伝統を受け継いだことが今日の隆盛につながる。なによりも古典の伝統を重んじる。近年日本で上演された『ジゼル』(2011年)『白鳥の湖』(2013年)における整然と揃ったアンサンブル、ていねいなマイムで語る演技などからもそれを実感できた。
創作・新作への取り組みも積極的である。2011年の来日公演〈This is Modern〉では、イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイス、オハッド・ナハリンという現代を代表する振付家の作品を一挙上演。団長で現役バレリーナ時代にアメリカやロシアでも活躍したジュリア・ムーン、芸術監督で振付家・指導者として国際的に活躍するブライアン・ユのもと世界水準のレパートリーを導入する先進的なバレエ団といえる。
洗練されたスタイル、力強い表現
団員の大半は韓国人。女性ではファン・ヘミン、男性ではオム・ジェヨンが筆頭だ。国際バレエコンクールの入賞者が多くテクニックに秀でる。モデル顔負けの美貌でスタイル抜群の踊り手が揃う。加えて体の底から振り絞るような熱い演技が特徴だ。美しく洗練されたスタイルと力強い表現――韓流ならではの独自のカラーを確立している。
豪華!人気演目を配したクラシック作品
Universal Ballet Special Gala -ユニバーサル・バレエ30周年記念-では、自慢のレパートリーから選び抜いた作品を上演する。
クラシック作品は名作からの抜粋中心である。
幕開けを飾る『白鳥の湖』オデットと王子のパ・ド・ドゥは静かな湖畔で囚われの白鳥が王子と心を通わせる珠玉の名場面。12名の女性コール・ド・バレエが入る豪華版である。息の合った壮麗な群舞は定評あるだけに大きな見どころといえるだろう。親交ある東京シティ・バレエ団からトッププリマ志賀育恵が白鳥オデット役で客演するのも話題。
『海賊』のパ・ド・トロワでは、ギリシャの娘メドーラ、海賊の首領コンラッド、奴隷アリという波乱万丈の冒険物語の主役級三人が超絶技巧を次々に披露する。『グラン・パ・クラシック』『ダイアナとアクティオン』のグラン・パ・ド・ドゥもバレエ・コンサートおなじみの人気作品。選りすぐりの踊り手が華やかに踊って祝祭感を高めそうだ。
親しみやすく深い現代作品
現代作品もセンスよく魅惑的なラインナップ。親しみやすく深い名作ばかりである。
キリアンの『Sechs Tänze』はモーツァルトの舞曲に振り付けられている。中世の貴族風の出で立ちをした男女8人の奇妙な踊りに思わず笑みがこぼれる。名匠キリアンのこと、ただ面白おかしいだけではない。ユーモアと風刺がたっぷり効いた洒落っ気ある佳品だ。
ハンス・ファン・マネンは日本で紹介される機会は限られてきたがオランダの誇る世界的巨匠である。『Black Cake』は楽しくウィットに富み、その老練の技が存分に発揮されている。パーティに集う男女13人のコミカルなダンスと大人の機微が味わい深い。
ナチョ・ドゥアト振付『Duende』では、ドビュッシーの神秘的な曲とともに奔流のごとく力強く変化に富んだダンスが繰り広げられる。肉体の躍動美ここに極まれり。温かく人間味も感じられ心揺さぶられること必至だ。奇才による掛け値なしの傑作である。
韓流バレエを味わい尽くそう!
華やかで美しい古典の粋(すい)と清新で奥深い現代作品の魅力が詰まった贅沢な公演。バレエに一家言ある見巧者、これからバレエ鑑賞に親しんでいこうと考えている方いずれにとっても見応えあるだろう。洗練と深みと多彩さある韓流バレエを心ゆくまで味わいたい。
文:高橋森彦(舞踊評論家)
写真提供:MCJ
★☆★ 公演情報 ★☆★
ユニバーサル・バレエ2014年日本公演
「Universal Ballet Special Gala -ユニバーサル・バレエ30周年記念-」
[第1部 クラシック・バレエ ガラ]
1.白鳥の湖 – オデットとジークフリートのグラン・パ・ド・ドゥ
2.海賊 – アリ、メドーラ、コンラッドのパ・ド・トロワ
3.グラン・パ・クラシック
4.ディアナとアクティオン
[第2部 This is Modern]
1.イリ・キリアン -SechsTänze(Six dances)-
2.ハンス・ファン・マネン -Black Cake-
3.ナチョ・ドゥアト -Duende-
開催日時・場所:
1月29日(水)ゆうぽうとホール(東京・五反田)
1月30日(木)同上
29日- 19時00分開演(18時30分開場)
30日- 15時00分開演(14時30分開場)
チケット料金:S席10,000円 A席8,000円 B席6,000円 C席4,000円
◇ゲスト出演
志賀育恵(東京シティ・バレエ団)
◇出演ダンサー
オム・ジェヨン/ファン・ヘミン/カン・ミソン/コンスタンチン・ノボショーロフ/イ・スンヒョン/イ・ドンタク/イ・ヨンジョン/カン・ミヌ 他
主催:MCJ
主催 連絡先:047-329-6120(月~金AM9:30~PM6:00)
info@universalballet.jp
チケットのお申込
・ぴあ 0570-02-9999
【東京公演】(Pコード:431-583)
各チケットぴあ店舗、サークルK・サンクス、セブン-イレブンにて購入いただけます。
・イープラス (PC、モバイル共通)
サイトから”座席選択”いただけます。
投稿日: 2014 年 1 月 11 日
カテゴリ: 公演プレビュー(レビュー)