【PICKUPについて】

このコーナーはバレエナビが取材させて頂いたホットな話題を取り上げております。
バレエやダンスに関する人・商品・サービス・イベント・公演など取り上げさせて頂く話題は多岐にわたります。
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PICK UP!

法村友井バレエ団訪問記

2013年5月最終週に法村友井バレエ団を訪問しました。大きな動物園(天王寺動物園)がある、大阪・天王寺駅(最寄は寺田町駅)からほど近い位置にバレエ団本部があります。2003年に建てられたという本部は8階建ての立派なもの。1937年設立という関西のみならず日本でも有数の伝統あるバレエ団の本部としてバレエ団のレッスン・リハーサルから付属バレエ学校のレッスンまで幅広く使われているとの事です。

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バレエ団内部をご案内いただく前にバレエ団・団長の法村牧緒さんにお話しを伺いました。

「バレエ団の特徴は?」
法村・友井バレエ団は、1937年に故法村康之、友井唯起子によって設立されたバレエ団です。1983年より私が団長となりました。傘下のバレエ学校にワガノアメソッドを定着させたこと、ロシアバレエの全幕ものを中心に数多くのレパートリーを有していることが特徴だと思います。

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「ワガノアメソッドが特徴という事ですが、なぜなのでしょうか?」
これはだいぶ昔の話になってしまうのですが、母がきちんとしたクラシックバレエの教育システムを息子に身につけてもらいたいという想いがあった為、サンクトペテルブルクに20歳の時に送り出された事がきっかけです。そこで、ワガノワ記念ロシア・バレエ・アカデミー(旧ソ連邦国立 レニングラード・バレエ学校)に日本人として初めて留学しました。

「その当時のソ連というと冷戦時代で大変だったのでは?」
そうですね。ちょうどチェコ動乱の時期でしたので、大変なところもあったのですが、比較的平穏に生活できました。

「日本人が居ないということで食事など困らなかったですか?」
若かったという事もあり、ロシア料理ばかりの日々でもすぐに慣れて大丈夫でした。当時、カーシャという蕎麦の実をふかしたような食べ物を良く食べたのですが、最初は”うーん・・・”と思ったものですが、だんだんおいしく感じられるようになりました(笑)。不思議なものです。ピロシキなんかはもう最初からおいしくて、ご馳走でしたね。日本では揚げたピロシキが多いですが、現地では揚げてないピロシキも一般的で良く食べていました。

「ご自身のバレエ留学生活のエピソードなども教えてください」
本当に幸運だったのは、当時、バレエ団のスタジオが改修中だったので、バレエ団員がバレエ学校でレッスンをしていた事でした。これは留学生活の2年間ずっとです。毎日のようにバレエ団員のレッスンを間近で見られ、それがなにより勉強になりました。バリシニコフと一緒にレッスンをする機会にも恵まれましたし、これが大きな財産になりました。

「38歳で法村・友井バレエ団の芸術監督に就任。プレッシャーはなかったのでしょうか?」
プレッシャーもありましたが、バレエ団のベテランがみんなで支えてくれました。もうそれから30年経ったのですね。

「今後のバレエ団の方向性について教えてください」
すでに設立75年となりました。その伝統を大事にしながらも新しいチャレンジを続けて行きたいと考えています。
しかしながら、“ただ目新しいから”というだけで色々と手を出しては駄目とも考えているので、我々が信じた道を着実に歩んで行きたいです。

いよいよバレエ団の内部を案内していただける事に。

8階建ての本部ビル

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8階の本部には大・中・小3つのスタジオがあり、それぞれが非常に広く、また天井高4m50cmもあるのでリフトも楽々です。その3つのどのスタジオも“ワガノア同様にしたい”という思いから中2階を設け、上からスタジオを見られるようにしてありました。

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スタジオ内には様々なコダワリが。バレエ団は小物などの物が多いので収納にはこだわったというスタジオ内では、なんと鏡の下が収納スペースになっています。

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さらに、、、鏡を特殊な道具でパカッと開けるとそこも収納スペースに。

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有名なテレビ番組の“匠”の世界!ですね。

驚きはまだまだ続き、ドイツから輸入したという移動式バレエバーは台座を斜めにすると1人でも簡単かつ安全に動かせるスグレモノ。団長自ら実際にやってみせてくれました。

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取材日は公演を控え、衣裳を着けてのリハーサルが予定されていましたので空いているスタジオではリラックスした雰囲気でリハに備えてダンサーのみなさんが衣裳やトウシューズのお手入れをされていました。

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その他、録音室や洗濯室といった専用の設備やさらなる収納スペースなども見せて頂きました。とにかく随所にコダワリがみられる建物で、その目的がダンサーの方、スタッフの方みなさんが快適に過ごせる・使えるようにという事であると感じました。

最後に、201368日の公演「海賊」のリハーサルを見学させて頂きました。

リハーサル前のショット。
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みなさんリハーサルまで時間があるので、リラックス
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リハーサルの様子
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リハーサル前のリラックスした雰囲気からリハーサルが始まるとダンサー・スタッフのみなさんは一変。集中モードに。「伝統を大事にしながら新しい事にチャレンジする」という団長のコメントそのものにしっかりとした“基礎”をベースにした見ごたえあるバレエが展開。素敵な時間を過ごせました。スタジオが広く、また、スタジオ内の音響も良いので「ああバレエを観られた」と少しお得な感じもしてしまいました。

そんな法村友井バレエ団の次回公演「海賊」は2013年6月8日にあましんアルカイックホールで開催されるそうです。また、海賊の後には10月12日に「白鳥の湖」も予定されているのでこちらも楽しみですね。

ぜひ♪

法村友井バレエ団はこちら
http://www.homuratomoi.com/index.html

<法村友井バレエ団次回の公演予定>
日時:2013年6月8日(土)開演:17:30

会場:あましんアルカイックホール

入場料:(指定席)
S席 ¥7,000 (¥6,500)
A席 ¥6,000 (¥5,500)
B席 ¥5,000 (¥4,500)

演目:「海賊」全幕

芸術監督:法村 牧緒

振付:ヴァジム・シローチン

曲:アドルフ・アダン

◆メインキャスト
メドゥーラ・・・・・・法村 珠里
コンラッド・・・・・・今村 泰典
グリナーラ・・・・・・河野 裕衣
ランケデム・・・・・・法村 圭緒
アリ ・・・・・・小嶋 直也(牧阿佐美バレエ団)
ビルバント ・・・・・・大野 晃弘
セィード・パシャ・・・・井口 雅之

<指  揮> 江原 功
<演  奏> 大津フィルハーモニー管弦楽団

取材記事:バレエナビ編集部